AOE(Angle Of Engagement)調整のポイント

AOEとは、セクターギアとピストンラックギアのピックアップ歯(かかりはじめ)が
一番最初に触れる角度の事で、写真中央の穴から見えるような感じで
噛み合っています。

一見、それほど重要視されないような項目ですが
使用するピストンやセッティングによっては
非常に重要な項目となりますので、
調整のポイントも含め解説していきたいと思います。
まずは、一般的な電動ガンのAOEを見てみます。

写真の様にセクターギアとラックギアのピックアップ歯が噛み合っていますが、
未調整の場合はピストンの進行方向に対し、大分斜めになっている状態で噛み合っています。

ピックアップ歯が樹脂でできているピストンの様に、
ボディが肉厚で十分な剛性があったり、メインスプリングが弱く不可が小さい場合は
ほぼ気になりませんが、これが高負荷になるハイサイクルチューンだったり
全金属歯のピストンを使用した場合、大きなトラブルに繋がります。

このAOEの場合、写真の様に引っ張り始めは斜め方向に力がかかります。
この時、ピストンに斜め方向の力に対する十分な剛性が無い場合、
ピックアップ歯やその周辺が内側に向かって折れてしまいます。

全金属歯のピストンで、ピックアップ歯周辺が折れるトラブルの
大多数が、このAOE調整不足が原因となります。
こちらはRETRO ARMSの9Tピストンを分解した写真です。

金属歯は一番薄いベース部分が幅8mm、厚さ1mmとなっています。

材質は1.7131 steel(ドイツの鉄鋼素材でクロムマンガン系合金鋼)の熱処理で、
引っ張り強度は約1000MPa(1000N/mm^2、約102kg/mm^2)となっており、
まっすぐ引っ張った所で、電動ガンのスプリング荷重程度で破断する訳がありません。

ところが、垂直に体重をかけて押すと、いとも簡単に曲がってしまいます。
このように、金属歯はまっすぐ引っ張る力には非常に強いのですが
曲げようとする力には非常に弱いです。

ピストンボディも同様で、金属歯を保持する部分はピストン先端とガイドレール、
そしてピストン後端の僅かな段差しかありません。

結果、全金属歯のピストンはボディ先端の段差と金属歯先端のフック部分に
ピストン後退時の力に対する強度をほぼ全て依存しています。
後端の段差やガイドレールは、あくまで歯の向きを整えるガイドのような役割です。

こうして見ると、如何にまっすぐ引くように力を書けることが大事か分かると思います。
先の事を踏まえて、AOE調整を見ていきます。

このように、ピストンをもう少し後方で引くことによって
歯にかかる力を進行方向に対し、ほぼ平行に持っていくことができます。

こうしてセクターギアとピックアップ歯を適切な位置で噛み合うようにする調整を
AOE調整と言います。

これを適切に行うだけで、全金属歯の破損を無くすだけではなく
寿命を大幅に伸ばすことが可能です。

例としてDSGハイサイクルを挙げますが、
同じRETRO ARMS 8Tピストン、SC 8枚歯DSGでAOE調整を行わない場合は
約46rps(耐久テストのためスプリング荷重は前進位置で6kgオーバー、後退時で10kgオーバー)で
ピックアップ歯が曲がり、ピストン後端が破断したのに対し、AOE調整を行った場合は
同荷重、約52rpsでも全く無傷で快調ドライブ(金属歯の接着も無し)です。
しかし、AOE調整を行うとピストンが後退した分、シリンダーヘッドとピストンヘッドに
隙間ができてしまいます。

よって、様々な方法でこの隙間を埋めてあげる必要があります。
隙間を埋める方法で最も一般的なのが、
衝撃吸収能力のあるゴム素材(耐久性も考慮し、ニトリルゴムが最適)で
かさ上げスペーサーを作ってあげる手法です。
このように、かさ上げ量に応じた板ゴムからサークルカッターやポンチで
素材を切り出します。
切り出した素材をシリンダーヘッドの衝撃緩衝材に接着し、かさ上げします。

空気の通り道を塞がないよう、ドーナッツ状に切り出したゴムを
脱脂した後、耐衝撃瞬間接着剤などでシリンダーヘッドの衝撃緩衝材に貼り付けます。

しっかり接着しないと、使用中に剥がれてクラッシュの元になるので注意してください。

ピストン側に貼り付ける方法もありますが、吸排気ヘッドを使用した場合は
吸排気穴を避けることで必然的に面積が小さくなり、衝撃吸収能力が乏しくなることと
ピストン重量が重くなることから、メリットがありません。

このように、比較的簡単に調整できるので
高負荷で使用したり、破損トラブルが続出する人はチェックしてみてください。