DSG(Dual Sector Gear)の可能性

DSGとは、アメリカ Siegeteck Conceptsによって名付けられた
1回転で2回コッキングするセクターギアの名称です。
日本では、蝶羽セクターや蝶ギアの名称で広く知られていると思います。
ガンジニアでは、この方式のセクターギアをDSG呼称で統一いたします。

本来、DSGの用途は通常のセクターギアでは実現困難な超ハイサイクル領域を目指す為のギアで、
60発/s〜70発/sというコンプレッサーや建設重機の様な音がする、恐ろしい動画がチラホラ見つかります。

ハイサイクルは基本的に高いギア比を高回転モーターで回しますが
電装系に莫大な負荷がかかり、バッテリーもそれなりの物を選ばなくてはなりません。
それ故に配線やバッテリーを納めるのに苦労するはめになります。
スペースの少ない銃や、スマートな外観を重視する場合は死活問題です。

そこで活躍するのがDSGです。
擬似的にサイクルを倍近くにでき、セミもしっかり撃てるこのギアは、電装系に負荷をかけず、比較的非力なバッテリーでも
それなりのサイクル、レスポンスを実現できてしまいます。

2012年3月現在、市販されている2種類のDSGを例に取り、その可能性を探っていこうと思います。
アメリカ Siegetek Concepts
Cyclone DSGシリーズ

・価格 : セクターギア単体は$55。各ギアセットは$120
・コッキング歯数 : 8枚×2
・ギア比 : セットのベベル&スパーの組み合わせにより20.15:1、14.09:1、10.44:1の3種類
・材質・製法・処理 : クロムモリブデン鋼(型番不明)・CNC切削・焼き入れ
台湾 Modify
Quantum Sector Gear

・価格 : セクターギア単体は\3500前後。ギアセットは\8000前後
・コッキング歯数 : 8枚×2
・ギア比 : セットのベベル&スパーの組み合わせにより16.32:1
・材質・製法・処理 : 焼結合金・一部切削
現在市販されているのは上記の2種類で、Quantum Sector Gear(以下QSG)は日本でも取り扱いがありますが
DSGは2012年3月現在、日本での取り扱いは無く、直販かアメリカ、ヨーロッパのショップから購入しなくてはなりません。

・使用感
剛性、精度、動作の確実性、全てにおいてDSGに軍配が上がります。唯一の欠点は入手性が悪い事です。

QSGはDSGのコピー品で、タペットカム&カットオフカムの形状が悪く、給弾不良&セミロックが多発してしまいます。
給弾不良はタペットの形状で何とかなりますが、セミロックはカットオフカムの形状から見直さなくてはならず
素材の硬度もあって、非常に難儀な調整になります。

ちなみにQSGの素材は焼結合金で、粘りが無く衝撃力に弱いです。
大出力バッテリーと大トルクモーターでドライブした際、立ち上がりの一撃で欠ける可能性があります。
使うならば、それなりの電装系と組み合わせ、中程度サイクルのフルオートオンリーか
セミオートオンリーのレスポンスアップ用と割り切った方が良さそうです。
こちらは、QSMを用いた"ほぼ"セミオンリーのレスポンスアップカスタムの例になります。
使用バッテリーはLi-Mn 7.4V 1600mAhで、リポにすると15C程度の
どちらかというと出力の弱いバッテリーになります。

QSGとノーマルギア比のスパー、ベベルの組み合わせですが、
LT(ロックタイム トリガーを引いてから弾が銃口20cm先のセンサーに当たるまでの時間)が
30ms台と、ノーマル電動ガン+7.4Vリポの半分以下、PTW(MAXU)よりも
さらに速いレスポンスを実現しています。

このように、出力の弱いバッテリーでもかなりのレスポンスを実現できます。
また、モーターはイーグル模型のHummer1300を使用しており
負荷、消費電力自体もノーマルとほぼ同水準を保っています。
(15Aヒューズでもセミ連射で切れません)
対して、こちらはDSGを用いた組み込み&セミ/フル動作の紹介動画です。

動画ではフルオートのサイクル重視でA123S 9.9V 2300mAhのでかいバッテリーを
使用していますが、現在はA123S 9.9V 1100mAhの小型バッテリーを用い
マルイ次世代用EMODストックの内部に綺麗に収まっています。

20.15:1のトルクアップギア比にもかかわらず、2300mAhで34.5発/s、
1100mAhのバッテリーでも32.3発/sと、かなりのサイクルを発揮でき、セミも問題なく使用できます。
こちらもモーターにHummer1300を使用しており、
スプリングの負荷はQSGの時より増えたのですが、トルク型ギアで相殺されたのか
こちらもノーマルと同様の負荷、消費電力水準を保っています。
これらのように、決して大出力モーターとバッテリーとは言えないような組み合わせでも
従来式では困難だったレスポンス、サイクルが出せ、さらに燃費水準はノーマルと同様と行った
今までの概念を打ち崩せるようなセッティングがDSGでは可能になっています。

ハイサイクル・ハイレスポンスにしたいけれども小型バッテリーしか使えない、、、内蔵したい、、、と言うジレンマも
DSGを使用すれば解決可能となってきます。

セッティングにはそれなりのノウハウが必要になってきますが、
この先、無限の可能性を秘めているギア・駆動方式だと感じています。