軸受の特徴と選定

電動ガンのメカボにギアを組み込む際、メカボとギアの仲介役として存在するのが「軸受」です。
ギアはモーターの回転を伝え、最終的にピストンを引っ張る動きに変えるのですが
その際、ギアは高速で回転します。
メカボの素材は亜鉛で、どちらかと言うと柔らかい金属でできています。
なので、メカボ自体で高速回転するギアの軸を受けると、あっという間に磨耗してしまいます。

そこで、高速で回転するギアの軸をうまく受け止めてくれる軸受の出番となります。
軸受けは「樹脂製軸受」、「無給油軸受」、「金属削り出し軸受」、「ベアリング軸受」の
大きく分けて4種類が電動ガンでは使用されています。
それぞれの特徴と向き、不向きを見ていきます。
・樹脂製軸受

写真はマルイのノーマル軸受で、素材はPOM(ポリアセタール)と思われます。
そこそこ強度があり、自己潤滑性に優れ、摩擦抵抗が小さいのが特徴です。
社外品では、同じPOMの一種である「デルリン」を用いたカスタム軸受が出ていたりします。

すぐに金属製軸受に交換されてしまい、破棄される事が多いのですが
下手な金属製軸受より性能が良く、ギアをあまり高速回転させず、あまり荷重をかけなければ
この軸受で十分持ちます。
また、ギアクラッシュした際に軸受自身が変形したり割れたりすることで
メカボ本体へのダメージを低減する役割を持っています。

☆長所
・最初からついてくる
・スペアパーツとして購入しても非常に安い
・自己潤滑性があり、多少のオイル/グリス切れでもへこたれにくい
・磨耗する際、メカボではなく軸受側が磨耗するので軸穴が広がりにくい
・トラブルの際に自己破壊し、ヒューズの役割を果たす

☆短所
・あまり高回転&高負荷には向かない
・種類が少ない
・無給油軸受

俗に「オイルレスメタル」と呼ばれる部類の軸受です。
金属の粉末を焼き固めて作る「焼結金属」の一種で、
金属粉末と一緒に黒鉛などの潤滑材を混ぜ込んで成型したり、
表面や内部に微細な穴をたくさん設けた多孔質として成型して
オイルを浸透させたりと、色んな種類の材質があります。

写真はマルイのHCシリーズ用オイルレスメタル軸受ですが
銅のような褐色の部分と、黒鉛と思われる黒い部分が見えます。

高回転、高荷重に対応し、優れた耐久性を持っていますが
メカボより強度があるので、ギアクラッシュした際にダメージがメカボに回りやすいです。
また、メカボへの取り付けがしっかりしていないと、ギアと共回りして
メカボ側をガリガリ削って、穴を馬鹿にしてしまうことがあります。

オイル含有系の無給油軸受は、オイルが切れると一気に磨耗が進行するので
無給油とは名ばかりで、しっかりチェックが必要です。

☆長所
・高回転、高荷重に対応する
・社外品を含め、種類が豊富
・種類にもよるが、少ないオイル/グリスで長期間の潤滑が可能

☆短所
・メカボへの固定が甘いと、メカボ側を破損させてしまう
・トラブルの際に自己破壊しにくく、メカボにダメージが回りやすい
・種類にもよるが、油分が無くなると一気に磨耗する
・潤滑材配合系なのか、オイル含有系なのか分かりにくい
・金属削りだし軸受
(手持ちのは銃に組み込んであるので、オイル含有系無給油軸受の画像です)

その名の通り、無垢の金属から削りだして作られた軸受です。
機械的強度は4種類の軸受中最高で、高荷重高回転に耐えますが
材質によっては潤滑油が切れると「焼き付き」を起こしてしまうという欠点があります。
(ステンレス削りだし軸受は熱を持ちやすく、特に注意が必要です)

中には軸穴内側に潤滑油保持用の溝が切られた物もあったりと、
様々な焼き付き対策が施されています。

☆長所
・4種類中、最高の機械的強度を持つ
・価格も比較的安価

☆短所
・材質によっては、潤滑油が切れると焼き付を起こす
・メカボへの固定が甘いと、メカボ側を破損させてしまう
・トラブルの際に自己破壊しにくく、メカボにダメージが回りやすい
・ベアリング軸受

今まで紹介した3種類とは根本的に構造の違う軸受です。
外側と内側2つのリング状部品に金属球を挟み込んだ構造をしており、
内側と金属球が共に回転することで、取り付ける対象の回転抵抗を
劇的に低減することができます。

しかし、構造が複雑な分、機械的強度に乏しく
電動ガンで使用できる実用的な大きさ(外径7mm以上)となると
メカボックス側に加工を施さなくてはなりません。

写真左は、内部にグリスを封入して蓋をしてある
「シールドベアリング」と呼ばれる種類で、右側はベアリング球が剥き出しの
「オープンタイプ」と呼ばれる種類です。
一般的な電動ガンに使用するのは、写真のようにつばの付いた
「フランジ付き」と呼ばれる物になります。

基本的にベアリングは給油が必要で、シールドベアリングは長期間潤滑が可能で
オープンタイプは注油が容易と言う特徴を持っています。
オイルはRC用のベアリングオイルなどが適しています。

また、厚みが数種類あり、物によっては他の部品と干渉するので
選定には注意が必要です。
純正軸受が外径6mmなので、軸受の穴を広げる必要があるのですが
取り付け穴の位置関係、穴精度、垂直度を保つ為には
それなりの工作機械と工具が必要となり、一般的ではありません。
なので、最初から穴を拡張してあるメカボを購入するのが一般的です。
ちなみに軸受の径を大きくすると、セレクタープレートや
グリップにも干渉してしまう為、そちらの加工も必要になります。

☆長所
・4種類の軸受中、ダントツで回転抵抗が小さい
・工業部品で規格化されており、材料屋さんで入手可能
・ギアと共回りすることが殆どなく、軸受穴が馬鹿になりにくい

☆短所
・取り付けには専門の加工が必要
・軸受の値段が高め
・高荷重に対応すると、径が大きくなってしまう
・横方向からの荷重は厳禁。ヘリカルギアにはやや不向き
続いて、軸受の重要な要素を見ていきます。
左の図は、簡単な軸受の図面になります。注釈はそれぞれ

@:内径
A:外径
B:フランジ径
C:厚み
D:フランジ厚

となっています。とりわけ重要なのは@の内径と、Aの外径になります。
電動ガンのギアの軸というのは、直径3mmのマイナス公差でできています。
公差というのは、○○mm〜○○mmの間に入っていますよ、と言う範囲を示す物で
電動ガンの軸においては、直径3mmより僅かに小さい範囲になっています。

対して軸受の穴はプラス公差でできています。
この軸と穴の寸法差がないと、うまくお互いにはまらない事になります。
電動ガン用と銘打っていれば、大抵この公差でできているので気にしなくてもOKです。
工業部品を流用する際は、公差に注意しなくてはなりません(大抵は大丈夫ですが、、、)

Bのフランジ径は、メカボに引っかかるフランジ部分の径で、
Cの厚みは軸受の厚みになります。純正の樹脂軸受で3mmとなっています。
Dはフランジの厚みで、純正の樹脂軸受では0.9mmとなっています。
この寸法から外れると、他の部品に干渉したりシム調整の幅が変わってきたりします。

また、フランジ付け根の段差加工も意外と重要なファクターです。
ここに段差加工があると、メカボ軸受穴のエッジと干渉せず確実に取り付けできますが
ベアリング軸受以外の軸受では見たことがありません。
なので、メカボ軸受穴のエッジが立っている場合は軽く面取りしないと
軸受をまっすぐ取り付けできません。
軸受の選定

自分がどんな用途で、どんな駆動系を組み込むかによって選定する軸受が変わってきます。

名称 耐高回転 耐荷重 耐衝撃 耐熱 給油頻度 取り付け難易度 価格 用途
樹脂製軸受 × × ノーマルセッティング付近のライトチューン
無給油軸受 30発/s前後の軽いハイサイクルや耐久性重視のセッティング
金属削りだし軸受 × 耐久性重視のセッティングだが給油が容易な機種に限る
ベアリング軸受 × × × × 少しでも回転抵抗を減らしたい高効率化やハイサイクル向け

個人的な感覚では、このようになります。
ライトチューンならば樹脂製軸受で十分、耐久性重視〜軽いハイサイクルは無給油軸受、とにかく抵抗を減らしたい場合はベアリングと言う感じです。
大負荷(強いスプリング)を使うことが無い昨今、金属削りだし軸受に関してはメリットがあまり無く、無給油軸受の方が良いように感じます。
・軸受の取り付け

軸受の取り付けは、圧入が理想的ですが
メカボの穴と市販の軸受では、指で軽く押すと入るくらいの関係が一般的です。
そういった場合は、接着剤との併用をお勧めします。

前述のエッジとの干渉をチェックした後にメカボと軸受を完全脱脂し、
対衝撃系の接着剤または嫌気性の高強度接着剤と用いて接着します。
嫌気性接着剤の代表としてはロックタイトのはめあい用最高強度が上げられますが
これは接着したが最後、バーナーで炙って溶かさない限り取れません。
覚悟を持って使用しなくてはなりません。

軸受がオイル含有型の無給油軸受だと、内部からオイルが染み出して
接着不良を起こすことがあります。その場合は脱脂材に長時間浸して
油分を完全に抜いた後に接着、その後にオイルを垂らして浸透させます。

高強度のエポキシ接着剤を使用する手もありますが、
エポキシ接着剤はフランジとメカボの間に入り込みやすく
フランジが若干浮いた状態で固定されやすいです。
こうなるとシム調整の幅が小さくなって、ギア鳴きが出ることがあります。

このように、軸受を取り付けて初めてシム調整が確実に行えるようになります。