A123 LiFePO4 9.9V 1100mAhバッテリーテスト

前回、ATLASの6.6V 1600mAhLi-Feバッテリーの試験をし、
微妙〜な性能という結果が出たのですが、
今回はもう1セル増やした9.9Vバッテリーでの試験を
行ってみたいと思います。

今回使用したのはA123systems社と言うアメリカの企業が開発した
通称「A123セル」を3本直列に接続した9.9V 1100mAhのバッテリーです。
このバッテリーは、京都にある模型のカブース様で
セパレート型に組んでもらった品で、送料工賃込みで\6340で購入しました。
模型のカブース様のサイトには、Li-Feバッテリーに関する情報が
沢山掲載されています。

模型のカブース様

A123systems
A123 3.3V 1100mAhのセルは、単体で大きさがφ18.2×65と、
ミニバッテリーに使用されている1/2Aセル(φ16.8×28)に比べ
外径で1.4mm太く、全長で37mm長いのですが
1セル辺りの電圧が3.3Vと高いのが特徴です。

写真はECHIGOYAオリジナルのNi-MH 8.4V 1100mAhと比較した画像です。
全長が少し長めですが、セルの外径が殆ど変わらないため、
9.6Vミニバッテリーと同じような間隔で使用できます。

ちなみにA&KのMASADAには、少しきつめですが収納できました。
3セル直列で並べると、8.4Vスティックバッテリーとほぼ同じ全長になります。
外径が若干太いので、89式ノーマルには収納不可でしたが、
VFCのAKS74Uには収納可能でした。

A123で、この上の容量のセルでは2300mAhの物がありますが
こちらは外径がφ26.15mm、全長が65.5mmと結構大きくなります。
コネクタはディーンズコネクターが標準ですが、
注文に応じて交換してもらえる様です。
横の白いコネクタはバランサー用のコネクタで、
HYPERION EOS充電器に対応したコネクタが装着されています。
Li-Feバッテリーのセルは、A123systems社が数多くの特許技術を持っており、
現状ではこのセルが最も高性能な物とされています。

2010.6.16 修正
A123systems社以外にも多数のセルが販売されていますが
中には電動ガンの要求するスペックに対応できない物(動力用でない物)もあります。
高負荷に対応できるか、事前に調べることをお勧めします。

また、中にはパンチ力を出す為に混ぜ物をし
リフェ本来の安全性が損なわれている物もあるそうです。
気になるセルがあったら、徹底的に素性や評判を調査してみましょう。
今回、A123セルを充電するにあたって、充電器も新調しました。
A123セルの充電には同じLi-Fe用でも、それに対応した充電器が必要です。

今回購入したのは模型のカブース様でお勧めしていた
香港製 HYPERION EOS 0606i AC/DCです。
これ1台で14セルまでのNi-Cd、Ni-MHの充放電(サイクル充電、トリクル可)、
6セルまでのLi-Po、Li-Fe(A123対応)のバランス充電、
6セルまでの鉛蓄電池の充電が可能です。

充電電流は最大6Aまで0.1A刻みで設定可能で、
AC(100〜240V)とDC(11〜15V)に対応するので
屋内、屋外問わず充電できるのが強みです。

価格は安いところで\12500前後です。
充電器本体と付属品各種、日本語マニュアルが付属します。
充電用のメインワイヤー(バナナプラグ)とバランサー用アダプターが付属します。
メインワイヤーの片方には何も接続されていないので、
自分の好きな端子を接続できます。

バランサー用アダプターは、標準ではHYPERIONブランド用の物が付属します。
別のブランドのコネクターを使用する場合は、
純正オプションの各社対応アダプターを購入する必要があります。
こんな感じで、ディーンズコネクターを接続しました。
色んなタイプのバッテリーを接続するので、
それに対応したコネクタを作っておきます。
コンセントを差し込むと、自動で起動します。
液晶に現在の充電モードや設定内容が表示されます。
写真はLi-Poの充電モードです。
こちらはNi-MH充電モードです。
C=0.5Aと表示されているのが充電電流で、好みの値に変更できます。
いつも通り、0.5Aで充電します。
バッテリーを接続し、ENTERボタンを長押しすると
バッテリーチェックが始まり、自動的に充電を開始します。

充電中、リアルタイムでバッテリーの電圧がモニターできます。
この時、BATT TYPEボタンを押すと充電中のバッテリーの情報が表示されます。
出力電圧〜充電容量まで、様々な情報が表示されます。
今回、比較に用いたECHIGOYAオリジナルの8.4V 1100mAhの
Ni-MHミニバッテリーです。

近い電圧の9.6Vで比較すべきかもしれませんが、
8.4Vバッテリーの代替品としての性能を比較したいので、
通常使用している物を比較対象に選んでいます。

充電電流値は0.5Aで、満充電時で902mAhまで入りました。
結構使ったバッテリーなので、少しへたり気味ですね。
こちらがLi-Feの充電モードです。
C=1100mAhと表示されている部分にはバッテリーの容量を、
3Sと書いている部分にはセル数を入力します。

C=1100mAhで入力すると、1C充電となります。
倍の2200mAhと入力すると、2C充電にすることが出来ます。

このA123 1100mAhセルのメーカーデータシートでは、
推奨最大充電電流5A、15分で満充電とあります。
充電する際は、まずメインワイヤーを接続し、
次にバランスコネクタを接続します。
外すときはバランスコネクタを外してからメインワイヤーを外します。

HYPERION側では1C充電を推奨しており、その場合は
約55分で充電完了となりました。
今回テストに用いたのは
前回と同じく東京マルイ 電動89式小銃(ノーマル)です。
音声計測ソフトを用い、単位時間(約2秒)のバースト射撃ごとに波形を読み取り、
発射弾数、サイクル、電圧を測定してデータとしました。
使用したBB弾は東京マルイ純正0.2gです。
実験にまる2日かかってしまいました(笑)

今回はNi-MH、Li-Feの比較実験として
・連射サイクル
・総発射弾数とサイクル低下率(持続性)の調査
を行い、さらにLi-Feの耐寒試験を行いました。

以下、テストデータになります。


A123 Li-Fe 9.9V 1100mAh 総発射弾数 4664発
Ni-MH 8.4V 1100mAh 総発射弾数 2527発

A123 Li-Feの方が公称電圧で1.5V上なので単位時間当たりに回転する速度が多いのと、
比較したNi-MHが902mAhしか入らなかったので、総発射弾数は結構開きが出ました。
しかし、ECHIGOYA Ni-MH 8.4V 1100mAhは最良の状態で約3000発発射可能とありますので、
それで比較しても、1.5倍以上撃てることになります。

注目すべきはA123 Li-Feの持続性(スタミナ)で、19発/sを約4000発、ずっと維持し続けています。
サイクルが19発/sを切ったのは3726発後で、18.5発/sを切ったのは4235発発射後でした。

対してNi-MHはピーク値から終了まで、ほんの少しずつですが下がり続ける特性を記録しました。
17発/sを切ったのが305発発射後で、16.5発/sを切ったのが1835発発射後でした。

A123 Li-Feは満充電直後、11.07Vまで電圧が上がります。そして100発も撃たないうちに10.30V付近まで電圧が降下し、
そこからずっと安定し続けます。サイクルもそれに付随し、充電直後は20発/sもありますが
すぐに19発/sへ落ち込み、ひたすら安定を保ちます。

安定サイクルは約19発/sと、9.6Vニッケル水素ミニと同等のレベルになります。
バレルの長い機種や、ホップを強くかける用途ではギアクラッシュを起こす可能性があるので
それなりの対処が必要になってきます。
↑が、今回行った充電直後のサイクル測定と耐寒テストですが、
前回用いたATLAS Li-Fe 6.6V 1600mAhでは、大きくサイクルが落ちてしまいましたが
今回のA123セルでは前回の実験よりさらに温度が0.5℃低いにもかかわらず、サイクルダウンは14%と
十分使用に耐える耐寒性を発揮しました。
この時のサイクルは17.2発/sと、充電したての元気の良いNi-MH 8.4Vに相当するサイクルを維持しています。
北国の初春や秋口にかけての屋外でも、十二分に使用できるレベルです。

総評
A123セルを使用した9.9Vバッテリーは、収納スペースの問題こそあれど
電動ガンで主流の8.4V Ni-Cd、Ni-MHの代替品、上位互換品として十分通用する性能を持っています。
今後、Li-Feもどんどん改良が加えられ、小型&大容量化が進んでいくと思われます。
専用充電器の初期投資こそ必要ですが、性能が良く管理が非常に楽です。
模型、ラジコン大手の田宮模型でも、自社純正品としてこのLi-Feバッテリーを採用しました。
小型化が成功すれば、電動ガンでも今後主流になっていくバッテリーだと思います。