電動ガンにおけるノーマルとFET化でのサイクル比較
(写真を撮り忘れたので、動画と一緒にご覧ください)

電動ガンのスイッチをFET化することで、接点の焼けは間違いなく無くなるのですが
そのほかの効能として、以前から「サイクルが向上する」と言われてきました。
実際にノーマル(配線交換のみ)とFET化を撃ち比べてみると、そんなに際立った変化は感じられなかったので、今回、ちゃんと実験して調べてみました。

実験は配線交換を施したノーマルとFET化のサイクル比較です。
配線はノーマル、FET共に長さを一切変えずにはんだ付けして比較しました。
電源はA123S 9.9V 1100mAhのリフェバッテリーと電源装置(9V 8V 7V 6V)でデータを取っています。
メカボックスはシリンダーをKM企画のワープシリンダーに交換した以外は全てノーマルパーツで構成、
モーターはイーグル模型のHummer1000に交換しているので、若干サイクルは遅めです。

FETはIRL3713を1石使用し、回路は

こちらの抵抗配置を変更した改訂版を使用しています。
ノーマル、FET化共にモーターには逆起電力吸収用のショットキーバリアダイオードを取り付けてあります。
これはサイクルにはまったく影響が無いので、無視して構いません。

結果は下記の通りになりました。

電源 ノーマルでの
サイクル(発/s)
FET化での
サイクル(発/s)
A123S リフェ 9.9V 16.6 16.6
電源装置 9V 16.0 15.8
電源装置 8V 14.4 14.4
電源装置 7V 12.6 12.6
電源装置 6V 11.0 11.0

サイクルは発射音をPCに取り込んでの音声計測です。
値を見て分かる通り、サイクルにまったく変化はありませんでした。
電源装置9V時にFETが0.2発/s遅い結果になっていますが、殆ど誤差の範囲と考えられます。

今回使用したFET(IRL3713)の内部抵抗はVGS=10(V) ID=38(A)時でmax 3.0(mΩ)、
VGS=4.5(V) ID=30(A)時でmax 4.0(mΩ)となっていますが、今回の結果を見ると
ノーマルスイッチの接触抵抗もその程度の値だと推測されます。

これらから、サイクルにおいてはFET化のメリットは無く、ノーマルと変わらないことが分かります。
FET化するついでに高効率配線に交換することが多いので、その配線の影響でサイクルが向上していると思われます。

また、「FET化することで燃費が良くなる」とも言われていますが、
動画を見てもらうと、ノーマル、FET化共に消費電流は8(A)程度と、あまり変化が無いことが分かります。
これも配線交換でサイクルが上がり、結果的に短時間で多くの弾を吐き出せるようになったのを
トータルでの発射弾数が向上した、と誤解した物だと思われます。

サイクルに関しては、ノーマルスイッチを消耗品と割り切って定期的に交換する場合や、電気的な制御を必要としない場合は
FET化によるメリットと言うのはあまり無いのかもしれません。

ただし、セミオートの立ち上がりに関してはまだ未調査で、両者の性能に差が出てくるかもしれません。
そちらは追って調査をしてみたいと思います。
2010.11.10
セミオートに関しても実験を行ってみました。
使用したメカボックスは前回の実験と同じP90用で、配線のみをセミオート側へ回しています。
前回の配線のままでは届かなかったので、配線に継ぎ足しを行っています。
(ノーマル、FET共に継ぎ足し配線を使用しているので問題はありません)

セミオートはモーターが回り始めてからピストンが打撃するまでの秒数を音声計測し、
5回の平均を出しています。結果は下記の通りになりました。

電源 ノーマルでの
立ち上がり(s)
FET化での
立ち上がり(s)
A123S リフェ 9.9V 0.046 0.045
電源装置 9V 0.047 0.049
電源装置 8V 0.049 0.052
電源装置 7V 0.054 0.050
電源装置 6V 0.062 0.064

数値を比較するとほぼ測定誤差程度でしかなく、FET化したからといって特別セミの立ち上がりが良くなるということはありませんでした。

しかし、動画を見るとFET化した時にノズルの停止位置がバラバラになる「オーバーラン」、「タイミングずれ」と呼ばれる
現象が多発していることが分かります。その場合、長、短、長、短、長という感じの秒数の平均を取っているので
ノーマルと比較すると立ち上がり時間が長かったり、短かったりしていることとなります(体感ではほぼ気にならないレベル)

ですが、この現象は一般的にサイクルが上がりすぎた時にカットオフ後もモーターが回り続け停止位置がバラバラになる現象なので
高い電圧の時に多発するはずなのですが、動画ではFET化 9Vの時は発生せず、8V時に発生、7V時は回復せずそのままタイミングずれ、
6V時は回復、9.9Vリフェの時にまた発生と一貫性が無いことが分かります。
また、タイミングずれが進行し続けると2バーストになったりするのですが、動画ではそれが発生していません。

タイミングずれは低電圧で回すと自動的に回復/適正タイミングに戻るので、8V→7Vではまだ回復せず、6Vで回復となっています。

サイクル計測の時、ノーマルのスイッチとFET(IRL3713)がほぼ同じ内部抵抗であると推測しましたが
それならばセミオート時の立ち上がりも同じはずですが、実際はタイミングずれが発生しています。
この事に関し、私はFETのゲート入力信号が原因ではないかと推測しています。
FETはご存知の通り、ゲート-ソース間に電圧がかかる事でONとなりますが、
微細かつ一瞬の信号でもONとなってしまうほど高感度です。

ノーマルスイッチならばカットオフ後、スイッチが跳ね上げられると接点同士が離れてOFFとなります。
本来一瞬の出来事ですが、接点同士はすこしずつ接触面積を減らしながら最終的にお互い離れる事となります。
ノーマルの様な大電力をスイッチングする場合は、接点が抜ける間際の接触するかしないかの状態は
モーターの回転時間に影響を与えないと思われますが、FETの場合はその微細な信号ですらゲートを駆動させて一瞬モーターを回します。
つまり、ノーマル接点のアナログな構造や機械的精度、果てはカットオフレバーがスイッチを跳ね上げるタイミングや勢いすら
微細な信号としてFETが過敏に検知し、モーターを極短時間駆動させ、それがタイミングずれとして出てきていると思われます。

とは言え、通常使用分にはなんら問題ないレベルで、正に重箱の隅をつつくような話です。

まとめ

通常スイッチに比べ、FET化におけるサイクル、立ち上がり向上は見られませんでした。
これらは配線交換時の効率UPと見て間違いないでしょう。

FET化のメリットとしては接点焼けが無くなる事と電子制御が可能となる事の2点となります。
特に前者は、大出力のバッテリーを使用した場合に磨耗が顕著なので、それを防止するのに効果的です。
後者は特殊なケースですので、一般使用ではほぼ恩恵がありません。
また、デメリットとして使い方を誤ったりショートさせた場合はFETの素子破壊による暴走が起こりうるので
よく考えて使用しなくてはなりません。