SBDを使用した接点磨耗軽減策

電動ガンを使用する際、大きな問題となるのが
スイッチの金具や接点が火花で磨耗してしまう「スイッチ焼け」です。

近年、ニッカドやニッケル水素に変わり
小型高出力のリチウム系バッテリーが使われるようになってきて
大きな問題となっています。

メジャーな対策としてはスイッチのFET化があります。
これは電動ガンのスイッチを単なる信号のON-OFF用として
使用するため、火花が飛ばなくなり磨耗が無くなると言うものです。
しかし、FET搭載スペースの問題や製作&取り付けに
ある程度の知識が必要で、何よりFETが破損したときに
暴走すると言う最大のリスクを背負っていました。
写真は後述のメカボックスセッティングで
A123 9.9V 1100mAhリフェバッテリー(25C+α)を使用し
セミオートで5000発発射後のスイッチです。
金具先端が大きく磨耗してしまっているのが分かります。
そこで、産業用の誘導負荷でよく使われる
接点保護対策のショットキーバリアダイオード(以下SBD)を
導入してみました。

誘導負荷のサージ対策としてはもっともポピュラーな物です。

このSBDを導入するきっかけになったのが
FETの実験をしているときの動画で、モーターのサージ対策として
SBDを取り付けたままFET有り無しで射撃したところ、
ノーマルスイッチでもなぜか火花が飛ばなくなった事で、
今回はそこから掘り下げていってます。
SBDとは、ある一定方向にのみ電流を流すと言う性質を持った
「ダイオード」と言う半導体の中の1種類で、
順方向に電流を流したときのロス(電圧降下)が低いのと
高速でのON-OFF(スイッチング)に向くと言う特性があります。

写真の素子がSBDで、リード線にシリコンコードを繋いでいます。
コードの青い方が-、赤い方が+で回路図記号の矢印の向きに
電流を流す特性があります。逆向きには流れません。
素子の右端に白いラインが入っていますが
このラインが回路図記号の矢印先端を意味します。

これをモーターの両端子に接続し、接点磨耗の原因でもある
逆起電力を電源電圧と同じ向きにし、
モーターの回転エネルギーに還してしまおうと言うのが狙いです。
手書きの簡単な回路図で申し訳ございません。

モーターから赤矢印の向きで逆起電力が発生した場合、
モーターに並列接続したSBDを介して向きを変え、
回転方向のエネルギーとしてモーターに還します。

逆に、スイッチをONにしてバッテリーからモーターに
電圧がかかった場合は矢印の向きが逆なので
SBDには電流が流れず、ショートしません。
こちらが実際に接続した画像です。
右側の収縮チューブに包まれているのがSBDです。
これから配線を出し、モーターの端子に接続しています。

SBDはいろんな種類がありますが、

・逆方向電圧(VRRM)が電源電圧以上
・順方向電流(IF)がモーターの無負荷消費電流以上

を満たしているのが条件です。
私はVRRM=100V、IF=4A前後の物を使用していますが
今のところこれで問題ないようです。

また、小信号用や一般整流用の小型ダイオードを用いた場合、
ダイオード自身での電圧降下が大きく発熱する場合があります。

ちなみにSBDを逆に接続した場合、素子がほぼ一発で壊れますので
向き確認は慎重に行う必要があります。
私はMAGPUL PTSのMOEグリップを使用していますが
このグリップは前後幅が広いため、SBDを収めることができます。
こんな感じで配線、配置しています。
線がやや干渉するので底板の一部を削っています。

モーターへの配線は全て丸型端子を使用し、
ポリカねじを使ってねじ止めしています。
駆動系のセッティングは下記の通りです。

・モーター : G&P M120旧型
・ギア : マルイ純正
・スプリング : マルイ純正
・スプリングガイド : マルイ純正
・ピストン : マルイ純正
・ピストンヘッド : マルイ純正加工
・シリンダー : KM企画 パワーシリンダー(?)
・シリンダーヘッド : マルイ純正加工
・ノズル : マルイ純正
・配線 : イーグル模型 16GA シリコン銀コード
・バッテリー : A123S 9.9V 1100mAh リフェバッテリー

と、ほぼノーマルに近いセッティングです。
こちらがSBD装着後、セミオートで5000発撃った接点です。
途中2500発からTRBを併用したので、さらに強烈な負荷がかかっています。

*TRB(トリガーレスポンスブースター)*

N村さん考案のバッテリー放電能力補助(強化)装置。
大容量のスーパーキャパシタをバッテリーに並列に接続することで
放電能力の低いバッテリーでも大負荷を動かせたり
バッテリーの電圧降下を抑制してセミの切れを向上させたりできます。
稼動側の接点です。

SBD無しに比べると、明らかに磨耗が減っています。
普段は黒くこびりついている放電カス(スラッジ)もあまり見えません。
正面から見た画像です。
写真上方向の接点が少し磨耗してるくらいです。
反対側にはほぼダメージがありません。
固定側の接点です。
接点グリスを塗布してありますが、ほぼ綺麗なまま残っています。
(接点グリスはSBD無し時も塗布しています)
左がSBD無し、右が有りです。

差は歴然で、大幅に接点磨耗が抑えられています。

今回はモーターの端子に近い部分にSBDを配置したケースを紹介しましたが
電動ガンの中にはVer.3の様にモーター近くに配置するのが
困難な場合もあり、コードを長くしたりスイッチに近い部分に
SBDを配置した場合にどうなるのかはまだ調査中です。

FETのように完全に接点磨耗を抑えることはできませんが、
無しに比べれば大幅に接点磨耗を改善することができます。
何より暴走のリスクが無く、部品も1個数十円で手に入るので
かなりお手軽かつ効果のある方法だと思います。

ちなみにSBDを取り付けたところでセミの切れや
サイクルが低下すると言うこともありません。