バッテリーの内部抵抗と実効電圧

電動ガンにおいて、バッテリーを選定するに当たって
電圧、容量、種類は重視される傾向にありますが、
意外と見落とされがちなのは「内部抵抗」です。

内部抵抗とは、電池の内部に存在する微小な抵抗値の事で、
LEDを点灯させたり、ICを駆動させたりと軽負荷な場合は無視されますが
モーターに大電流を流す電動ガンにおいて、重要なファクターとなってきます。
写真はバッテリーのセル内部に存在する内部抵抗を回路図記号で表した物です。
回路(配線やモーター)に大電流が流れるほど、セルの内部抵抗にも
大電流が流れ、流れた電流×内部抵抗の値がロス分として
電源電圧から差し引かれてしまいます。

つまり、重要なのは「バッテリーの公称電圧が○V」と言う事ではなく
「モーターを駆動させた時、ロスを差し引いて最終的にモーターに○Vかけられるか」
ということになります。

とは言え、内部抵抗が明記されたデータシートなどは殆ど手に入らず
バッテリーの種類やセルの大きさによっても様々なので、
ユーザーが色々実験してみないと分からないと言うことが多々あるのが現状です。
そこで、モーターを駆動させるとどのくらい電圧が落ち込むのかを
調べる為に、こんな実験装置を作ってみました。

いつもモーターの負荷テストに使用しているノーマルVer.3メカボに
EG700モーターを取り付け、それをバッテリーで駆動させます。
バッテリーは駆動前に電圧計で電圧を測っておきます。
メカボを駆動させる時、モーターの端子に同じ電圧計を接続し
モーターに何Vかかっているのかを測定してみます。

この実験装置はスイッチを介さず、直接バッテリーとモーターを
12Gのシリコンコードとファストン端子、各種コネクタで接続しています。
正確にはそれぞれの接触抵抗も加味しなくてはなりませんが
どんな塩梅で電圧が落ち込むのかを見るのが目的なので
とりあえずは無視しておきます。

バッテリーの正確な内部抵抗を測定する為には
すべり抵抗器や精度の高い電圧計、電流計が必要となるので
手持ちの機材だと、ちょっと厳しいところがありました。
まずはいつも使っているGP1100セルの8.4V 1100mAhの
ニッケル水素バッテリーです。
結構長い間、元気に動いてくれています。

バッテリー単体では、9.75Vでした。
メカボックス駆動時、モーターには7.76Vの電圧がかかっています。
約2V、電圧降下していることになります。

このように、バッテリーの電圧が100%モーターにかかることは無く
内部抵抗その他もろもろの要素でロスが生まれ
このように低い電圧がかかることとなります。

一般的に大型のバッテリーになるほど内部抵抗が小さくなり、
大電流を流せるようになります。
ニッケル水素で、同じ8.4Vでもミニバッテリーよりラージバッテリーの方が
サイクル、切れ共に良いのは内部抵抗の差により
最終的にモーターにかかっている電圧に差が出ているからです。
続いてA123 18650セルを用いた9.9V 1100mAh リフェバッテリーです。
単体では10.04Vでした。
モーターの端子電圧は8.37Vでした。
こちらは約1.7Vの電圧降下となりました。
続いて、同じ9.9Vでも容量が大きく、内部抵抗がかなり低い
A123 26650セルを使った9.9V 2300mAh リフェバッテリーを
テストしてみました。単体では10.33Vでした。
ドライブ時、9.32Vでしたので、約1Vの電圧降下です。
ほぼ公称電圧通りの値をモーターに供給していることになります。
こんな感じで、バッテリーの種類や容量の違いによって内部抵抗に差が出てきます。

ニッカド、ニッケル水素バッテリーは1セル辺りの内部抵抗が非常に小さいのですが
1セル辺り1.2Vと電圧が低く、何本も直列に接続して電圧を稼がなければならず
抵抗の直列接続になるのに加え、セル同士の接点が増えて、そこも抵抗になると言う弱点を抱えています。
ちなみに単三型、単四型のニッケル水素バッテリーの殆どが高い内部抵抗を持っており
電動ガンの要求する電流を流すと電圧降下が大きすぎて、トータル的な出力を得ることが出来ません。
(RC用など、低内部抵抗、高放電レートのセルは除く)

対してリチウム系バッテリーは内部抵抗はニッカド、ニッケル水素に劣るか同等程度ですが
1セル辺りの電圧が3V前後と高く、トータルの内部抵抗や接触抵抗は小さくて済むという利点があります。
7.4Vのリポで8.4Vのニッケル水素と同じくらいのサイクルになった、セミの切れが良くなったというのは
こういった所に起因することが多いです。
しかし、リチウム系バッテリーはその不安定な組成から放電レートが制限されている事が多く
実は無理をかけて放電させており、電池の破壊に繋がる、、、と言うことも考えられます。
リポは小型の物なら最大レートを超える放電によって電極への化学物質析出が起こり、
内圧上昇にて破損してしまう可能性があります。
リフェ(A123)は内部抵抗が低く高い放電レートを持ちますが、それなりにデカイと言う欠点を持っています。

こんな感じで、電動ガンと言う大電力消費分野では、意外と内部抵抗は大きなファクターを占めています。
これらを加味してバッテリーを選択してみると、また違う選択肢が見えてくるかもしれません。
(本当は、セルの詳細なデータシートを入手できるのが一番なのですが、、、)