デジタルナイトビジョン製作記

サバゲの夜戦用に、以前からナイトビジョンが欲しいと思っていました。
しかし、第一世代でも+となると10万円近くし、実用的な2世代、3世代ともなると、諭吉さんが幾らあっても足りないのが現状です。
そこで、自分でナイトビジョンを作ってしまおう、と思い立ちました。

・出会い
今から2〜3年前、若花ださんが高感度CCDカメラを基部としたナイトビジョンモジュールを見せてくれました。
赤外線照射無しで、第一世代+より遠くまではっきり見え、感動を覚えました。

・リサーチ
それから色々調べたところ、近年、光電子増倍管(PMT)に代わって、C-MOSやCCDイメージセンサを用いた
「デジタルナイトビジョン」が登場するようになってきた、との事です。
PMTを用いたナイトビジョンに比べ、安価で、中には第三世代と同等レベルの物まであります。
市販の部品を組み合わせて作れること、電気的に色々弄れること、安価なこと、と3拍子揃ったところで、
「デジタルナイトビジョン」を製作することとしました。

・設計思想
まず、一番重要なのはどれくらい暗い所ではっきり見えるかで、赤外線等の補助光無しでの運用を視野に入れたいので、
暗視能力は第三世代を目標とします。
次に運用面で、ヘッドマウント、ウェポンマウント(AN/PVS-22の様にスコープとの併用)の両用ができるようにします。
今回製作するデジタルナイトビジョンは、
高感度CCDカメラを用いたものにすることとしました。

使用するCCDカメラは、天体観測で定評のあるWATECの
WAT-902H3 ULTIMATEです。
このCCDカメラは、撮影時の最低照度が0.0002Luxと
市販のCCDカメラの中ではトップクラスの低照度撮影が可能なモデルです。

さらに上位機種のWAT-902H2 ULTIMATEもあります。
こちらはCCDイメージセンサーの大きさが1/2とH3の1/3に比べて大きく
より多くの光を取り込めると言う利点があります。
しかし、これに対応するレンズが高く、「安価」の面で苦しいものがあったので
今回はワンランク下のH3を採用することとしました。
WAT-902H3 ULTIMATEで約\35000位です。

カメラ先端についているのが、レンズです。
レンズが無くては、映像を映し出すことができません。
WAT-902H3 ULTIMATEはCSマウントを採用しており、
市販の様々な1/3用レンズを搭載することができます。
カメラ後部の画像です。
ビデオ出力端子、電源入力端子の他に、左右にスイッチが1つずつあります。
左のスイッチがガンマ補正、右のスイッチがゲインコントロール切り替えです。

ガンマ補正は画像に映し出される映像の彩度や明るさを補正する機能で、
高くするほど暗部が強調され、明部が抑制されます。

ゲインコントロールは、いわゆる明るさの調整になります。
MGCはマニュアルゲインコントロール(手動調整)で、
AGC(オートゲインコントロール)は自動的に明るさ調整を行ってくれます。
これは明るさの幅で、LOWとHIの2種類が選べます。
明るくするほど、画像のノイズが大きくなる傾向にあり、
AGCもHIでは暗い所を撮影するとノイズが酷すぎて、LOWでしか使えません。
カメラスペック

イメージセンサー : 1/3インチCCD
画素数 : 768(H) × 494(V) 38万画素
水平解像度 : 570TVライン
最低照度 : 0.0002Lux/F1.4
S/N比 : 50dB
電子シャッター : 11段階切り替え
ガンマ補正 : HI(0.35) LOW(0.45) OFF(1.0)
逆光補正機能 : OFF/中央/下方/中央+下方測光
AGC : HI(5〜60dB) LOW(5〜32dB)
レンズ : CSマウント
オートアイリス : ビデオ/DCアイリス自動切換え
電源 : DC12V 160mAh
電池使用 : DC12V
寸法 : H39×W35.5×D63
重量 : 98g
接続端子 : 映像(BNCJ)
レンズは、FUJINONのYV2.7x2.9LR4D-2と言うレンズを使用しています。
このレンズは広角〜当倍位で、ズームはできないのですが
F値(レンズの明るさを示す値)が0.95と非常に明るいのが特徴です。
焦点距離はf2.9-8mmとなっています。

画像の先端部分のレンズがピント合わせ、
レンズ全体を回すことによって倍率調整を行います。
裏側にあるつまみが、絞りの調整です。
手動で絞りの量を無段階で調整することができます。
価格は約¥15000です。

レンズスペック
焦点距離(f) : f2.9-8mm
絞り範囲(F) : F0.95-C(手動絞り)
アイリス : 手動
対応CCDサイズ : 1/3
マウント : CSマウント
接続するモニターは、ヤフオクで落とした車のバックモニター用の
2.5型液晶モニターです。スペックは不明(笑)

とにかく安く、約¥2000で落とせたと思いました。

映像端子(RCA)がついており、カメラ側と接続することで
簡単に映像を映す事ができます。

スピーカーも内蔵している為、寸法が大きく
ケースに収めた時、必然的に大型になってしまいました。
機会を見て、小型で解像度の高いものにしたいところです。
全体図です。
カメラ、モニターの他に電源スイッチと電源(CR123A×4)、
電源を一律12Vに整える三端子レギュレーターで構成しています。
三端子レギュレーターです。
12V以上の電源電圧を入力すると、12Vピッタリに出力してくれます。
電源はCR-123Aを4本使用します。
本来は3.6Vの充電タイプCR-123Aを4本使用しますが、
4本あるうちの1本がお亡くなりになってしまったので
臨時としてCR-123Aを4本使用しています。
これらを、アルミのボックスに収めてみた画像です。

まだスコープとの併用ができないため、照準にはドットサイトを使用します。
家の窓から撮った夜の風景です。
街灯が2本あるだけで、後は月明かりもありません。
AGC MGC(35dB位?)、絞り全開で撮影してみた画像です。
あまり分からなかった、道路の様子や建物の様子などが分かるようになっています。
赤い丸で囲んだ建物まで、レーザーレンジファインダーで測定して261mです。
街灯の明かり、船の明かり、自動車の明かりが大きな光源となっているのが分かります。
次に設計したのが、スコープの焦点距離を数センチに変換する
スーパーニアフォーカスレンズです。

TASCO Gスナイパーのレンズを流用して、
後ろにつけるスコープの焦点距離をモニターに合うようにしました。
スコープの部品を多数流用して、ユニット化してあります。

スコープをつけない場合、覗いても普通に見えるので、
ヘッドマウント、ウェポンマウント両用の設計思想はクリアしました。

スコープは、倍率が高い(4倍くらい)物を使用すると、
液晶画面のドットが拡大されて見え、非常に見づらいので
当倍のスコープを使用しています。
この場合、倍率はCCDカメラについているレンズの倍率となります。

サバゲで使用する距離ならば、当倍で十分なので、レンズもこのままで行きます。
ユニット端に着いている緑色の部品は、カメラ用カラーフィルターで、
ナイトビジョン特有の緑色の視界を再現する為に設置しています。

非常にアナログな方法で緑色を再現してみました(爆)
サバゲの時に持っていって、撮影した画像です。条件は前回と同じです。
満月で、月明かりが出ていた為、かなり明るく撮影できています。
しかし、月明かりが出ていてこの明るさレベルですと、せいぜい第一世代+がいいところです。
まだまだ目標とする第三世代には遠く及びません。

そこで、今度はナイトビジョン機関部のパワーアップを行いたいと思います。
・機関部パワーアップ作戦

カメラとレンズを素組みしただけでは、第一世代+位の暗視能力しかありません。
そこで、機関部を電子的にパワーアップさせます。

怪しい回路に接続していますが、
これはオーディオ機器と同じ原理で、「アンプ」に接続しています。
アンプを通すことにより、カメラの出力を増幅してモニタに映し出します。
回路の上半分のコンデンサは無視してください(笑)

こんな感じに回路を組んで接続しています。
使用しているICは、新日本無線のビデオアンプIC NJM2267Dで、
ゲインは2倍(6dB)で、入力された映像信号を増幅して出力します。
これを通すことにより、かなり明るい映像が出力されます。

覗いてみた画像は、また後ほど、、、
2008.10.15

まず、元となる夜の風景です。今夜は満月で、月明かりが出ていました。
目の前は海で、画像では見えにくいのですが、道路の白線まで約25m、海まで約40mです。
まず、ビデオアンプを介さない画像です。
これでも、月明かりが出ているので、かなり遠くまで見通すことができます。
画像の下1/3位に見えるのは、我が家の屋根です。
次に、ビデオアンプを介した画像です。
明るくなりすぎて、海や屋根の部分がホワイトアウトしてしまっています。
使っているICのせいか、若干ノイズが入っている感じです。
満月の月明かりのある日では、絞りを効かせるか、AGCをONにして本体側のゲインを下げてやらないと、
明るくて何も見えないような状態になります。

とりあえず、明るくはなりましたが、現段階ではしっかり暗部が増幅されているかは不明です。
今度はこの回路を基盤に組んで、安定化電源駆動からバッテリー駆動へ切り替え、
暗い所へ持ち運んでテストしてみようと思います。
2008.10.17

先日ブレットボードで製作した回路を、持ち運びができるように基盤に組みました。
本体の電源から、この回路の電源を取ろうとすると
画面が映らなくなってしまう為、この回路用に別系統で006P乾電池2個を用意しました。
電源が2系統もあると、必然的に大型化してしまうため、
いずれは1系統で済ませたいです。
デジカメで撮った風景です。うっすら看板だけ映っています。
今夜の空のコンディションは、星明りがメインで、月は雲に隠れています。
画像がかなり荒いのは、カメラのゲインを高めにしているのと、
増幅によるノイズ、そしてディスプレイの性能と思われます。
これは増幅回路をONにした状態での撮影です。
近くの建物を写してみました。こちらは屋根の一部だけがうっすら見えています。
こんな感じで見えます。
増幅前は見えなかった、山の木々のシルエットもはっきり見えるようになりました。
今度は家の裏山の写真です。
こちらも完全に暗闇で、肉眼では山なのか建物なのか、よく分かりません。
こんな感じで見えます。
建物と山の境界がはっきり見えて、いい感じに識別できるようになりました。
星空でも、白く見えるくらい明るくなりました。
今度は、山をバックに撮影してみた画像です。
完全な暗闇で、肉眼でも風景が見えるか見えないかという感じでした。
建物と、山の木々のシルエットがはっきり見えます。
中央部分には、石油タンクも写っているのが分かります。
こちらは増幅回路を切って撮影した画像です。
増幅有りと比較して、ノイズが入っていない分、画像は鮮明ですが、
暗部と明部の境目がはっきりしておらず、全体的に暗く、コントラストが低めな感じに見えます。

今回の増幅回路で、以前見せてもらった第二世代と同じくらいかな、と言う感じまで持っていけました。
今後の課題としては

・増幅によるノイズを排除し、解像度を向上させる
・さらに増幅度を向上させ、明るい像にする
・ディスプレイを高性能のものに代える
・電源を2系統から1系統にして、本体もコンパクトにする

と言う感じです。
まずは、ディスプレイと新しい増幅回路から着手していきたいと思います。