HAWKE SIDEWINDER 8.5-34×56の欠陥と修理

イベントや投売りで偶に見られるHAWKE SIDEWINDERシリーズですが
その低価格さとは裏腹に、光学性能はかなり優秀です。

このHAWKE SIDEWINDERシリーズは当初、ちゃんとした製品として発売される
予定だったのですが「設計ミス」が見つかり、売ることができず
在庫となっていたものが日本に流れてきたのが国内流通の始まりでした。

今回持ち込まれた品は、サー・ワダさんが購入した物で
倍率を低くすると、左側に影が映りこむという不具合を抱えていました。

この不具合を修理することになったのですが、
これを機に欠陥を発見することとなりました。
視界内に影が映りこむということは、内部のレンズのうち
どれかに「何か」が映りこんでいると言うことになります。

見た感じ、対物レンズと接眼レンズに変なものは見られず
影がレティクルより前に見えているのでセカンドフォーカルのレティクルより先、
つまりエレクターレンズもしくはサイドフォーカスレンズ周りに
不具合があると推測し、分解にかかりました。

まずはアイベルを外します。
アイベルはメインチューブにネジロックにて強固に接着されています。
バーナーで炙り、ネジロックを軟化させてから回し、外します。

パワーダイヤルはリンクネジ1本を外すとフリーになり、外せます。
メインチューブにある固定ネジ3本を外すと
エレクターチューブが引き抜けます。
この時、エレクターばねの紛失とレティクルに注意です。
レティクルはユニット化されていて取り外せるので
先に取ってしまった方が良いかもしれません。
エレクターチューブ先端を見ると
ものの見事に潰れ、歪んでいました。
この歪んだ部分がレンズに映り、影となっていました。

この歪んでいる部分はウィンデージ調整子の当たる部分でした。
エレベーション、ウィンデージを最大まで締めこんだ画像です。
調整子が異常に飛び出し、中央付近まで延びています。
これではエレクターチューブを押しつぶしてしまいます。

これがSIDEWINDERシリーズの欠陥で、1インチチューブにしては
調整子が長すぎ、締め込みすぎるとエレクターを破損させてしまうと言う物でした。

現在、リニューアルされたSIDEWINDERが30mmチューブになっているのは
この欠陥を改善する為だと思われます。
レンズにダメージは無かったので、不完全ではありますが
ペンチで歪みを取りました。
まだ凹んでいますが、影が映らなくなれば良しとしました。

ちなみにこの潰れた部分のすぐ下にレンズがあり、
下手をすればレンズが砕けてしまうところでした。

ストラトさんが持っている6-18×54のモデルが正にこれで、
エレクターレンズにひびが入ってしまい
低倍率にすると視界に映りこんでしまうそうです。
修正後、逆の手順で組み込みます。すると視界内に影は映らなくなりました。
恐らく市場に流通しているモデルは全て、この欠陥を抱えていると思います。
ノブを過度に回さないことと、回す重さに違和感を感じたらそれ以上回さないほうが良いでしょう。