射出瞳径

スコープのみならず、双眼鏡、天体望遠鏡等のスペックを知る際に
非常に重要なのが射出瞳径と言う項目です。
スコープを30cm程遠ざけて覗いてみると、内部に明るい小さな部分が見えます。
これを射出瞳径と言います。

射出瞳径は光学機器の明るさを示す指標のうちの1つで、径が大きいほど画像が明るくなります。
射出瞳径は対物レンズ径÷倍率で求める事ができます。
↑の写真で、低倍率時(左側)では瞳径が大きく、高倍率時(右側)では小さくなっているのが分かります。

・スコープの選定と射出瞳径
「スコープを選ぶなら鮮明で明るい方を!」
確かに暗くてぼやけているものよりは鮮明で明るい方を選びたいものですが、
意外と落とし穴があります。「明るすぎる事」です。
人間の瞳は周囲の明るさに応じて、自動で瞳の径を絞ります。その大きさは以下の通りです。

周囲の状況 瞳径の大きさ
昼間の一般風景・建物 2〜3mm
夕暮れ時の薄明かり時 4〜5mm
野球や舞台等のナイター時 3〜4mm
夜景 6〜7mm

参考:株式会社ケンコー 双眼鏡の基礎知識

この様に、人間の瞳は周囲の状況に応じて瞳径を変えます。
スコープの瞳径が人間の瞳径より大きな場合、人間の目には大量の光が入り込み、眩しいと感じます。
逆に瞳径が小さい場合は暗く感じます。
一般的な3〜9×40のスコープを例に取ると、3倍時の瞳径は約13.3mmとなります。
昼間はもとより、夜間でも十分な瞳径を確保しています。コーティングによっては非常に眩しく感じるでしょう。
9倍時は4.4mmと、昼間〜夕暮れ、明け方までは十分ですが夜間は暗く感じてしまいます。
(スコープの明るさは瞳径以外にコーティングや内部構造で決まりますので、瞳径±の明るさがあります)

・口径、倍率と瞳径
高倍率スコープは必然的に対物レンズ径が大きくなってきます。
これは、倍率が大きくなっても瞳径を確保するのが目的で、ちゃんと理に叶った構造になっている訳です。

・実際にスコープを選ぶにあたって
まず、スコープを使用するシチュエーションを想定します。
昼間なのか夜間なのか、屋外なのか屋内なのか、と言う大まかな周囲状況を思い浮かべ、
↑の瞳径表と比較してみると、必要な最低瞳径が判明します。
昼間屋外で想定すると、肉眼の瞳径は2〜3mmなので、3〜9×40のスコープでを4倍で使用してお釣が来ます。
3〜9×32を4倍で使用しても十分でしょう。
大まかなスコープの倍率と対物レンズ径が決まったら、後はコーティングや機能、レティクルの種類を絞っていけば
使用したい環境に最適なスコープを割り出す事ができるでしょう。

しかし、先に書いた通り、スコープの性能は瞳径のみならず、コーティングや内部構造で決まります。
最終的に自分に合っているか合っていないかは、実物を覗いてみない限り確実に分からないと言う事を
常に念頭に置いてください。