LEUPOLD Mark4 3.5-10×40 LR/T M1 レティクル交換 以前から競技などで使っていたMark4 M1ですが、 レティクルがデュプレックスの為、同じ的を狙う30mチャレンジでは良かったのですが、 EXTREMEやゲームでは、スケールホールドしたかったり、 レンジングしたい場面が多々あり、以前からレティクルを交換したいと思っていました。 LEUPOLD CUSTOM SHOP に依頼すれば、TMRに$140位で交換してもらえますが、 アメリカに送るツテも無く、途方に暮れていました。 そんなこんなで月日は流れ、修理でスコープを1本、2本とばらすうちに 「自分で何とかなるんじゃないか?」と邪な考えが浮かんできて、 とうとう実行に移してしまいました。 *注意* 今回、かなり過激な事をしています。真似は激しくお勧めしません(爆) |
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このモデルはセカンドフォーカルの為、レティクルは エレクターチューブ後端に付いています。 それを外す為に、まずはアイベルを取り外すのですが、 写真の位置まで回すと、それ以上回らなくなってしまいます。 接眼レンズを斜めから覗き込むと、中にカニ目ネジが見えます。 これがロックしている本体だと予想し、まずは接眼レンズを外しにかかりました。 |
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アイベルは見た目からして2分割構造ですが、 接合部は恐ろしく硬く、いくら頑張ってもそのままでは外れません。 大抵、衝撃で外れないようにネジロックで強固に固定されているので、 熱をかけてネジロックを溶かします。 写真はイメージですが、まずはヒートガンで炙りました。 *事件発生* 接眼レンズが真っ白に曇りました(笑) NF、S&Bでも同じ現象を確認していましたが、LEUPOLDでも起こりました。 数分放置しておくと、元通り綺麗になったので、再び熱を十分かけ、回しましたが、、、 びくともしません。 |
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「きっとアメリカだから、ヤヴァイネジロックとか使ってるんだ」 「向こうの接着剤は半端じゃないもんな〜」 「基本はネジロック!熱のかけ具合が足りないんだ!」 情熱と本能が命ずるままに 燃やしてみた |
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コブラレンチの表面が焦げるくらいまで熱をかけて、やっと外れました。 LEUPOLDを燃やした馬鹿は、日本広しと言えど、私だけだと思います、、、 こんな事をすると、「らいふたいむ わらんてぃ」を受けられなくなりますので 完全自己責任で行います。 ちなみにネジロック(恐らくLOCKTITE)の色は赤。 「苛酷な振動、衝撃を受ける高力ボルトの固定とシール用(高強度)」 です。最大使用温度は約150℃。一筋縄でいかないわけです。 ちなみに、LOCKTITEにはミルスペック品もあります。 |
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接眼レンズを外すと、ワイヤーレティクルが見えます。 | |
まずは、アイベルを外す為、内部のロックネジを外します。 内部をヒートガンで十分加熱し、先端をグラインダーで細くして カニ目ネジを回せるようにしたラジオペンチを突っ込んで ぐいっと回すと、取れました。 |
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ロックネジを外すと、アイベルがフリーになります。 | |
後は、アイベルを回すと取り外すことが出来ます。 ワッシャー状のパーツは、ロックネジのゆるみ止めです。 |
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続いて、レティクルロックネジを外します。 すると、真鍮のレティクルユニットが顔を覗かせます。 |
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これは、軽くはめ込んであるだけなので、簡単に引き抜けます。 こんな感じで、真鍮のリングにワイヤーレティクルがはんだ(?)付けされています。 このようにユニット化することによって、CUSTOM SHOPで 自由自在にレティクル交換をしてもらえるのだと思います。 |
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普通のミルドットだと、あまり味気ないので 今回使用したのは、ガラスエッチングされたNATO レンジファインダーレティクルです。 過去に、何かのスコープから取り外したものだったと記憶しています。 |
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ガラス板の直径が約18mmと、LEUPOLDのユニットレティクルより大分小さいので そのままでは取り付けできません。 そこで、ロックネジにレティクルを取り付ける方向にしました。 こうすると、ねじ込み具合でキャントレティクル(レティクルが傾いてしまう事)を 簡単に調整できます。 幸い、ロックネジの狭い内径部分とガラス板直径がほぼ同じでした。 |
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まずは、ガラス板とロックネジの段になっている部分が面一になるように スペーサーを作ります。 |
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スペーサーにガラス板を乗せ、面一になることを確認します。 | |
次に、ガラス板側面に薄くエポキシ接着剤を塗っていきます。 強度が要求される部分なので、強力な接着剤を使用します。 はみ出したり、ガラス板についてしまったら一巻の終わりなので、 細心の注意を払って作業します。 |
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そっとはめ込み、硬化を待ちます。 | |
硬化が終わったら、いよいよ組み込みです。 今回最大のキモ、「レティクル面の清掃作業」が待っています。 レティクル両面に、ほんの僅かなゴミが付いていただけでも 視界内に黒い点として映り込んでしまうため、徹底的にクリーニングします。 この際、部屋全体に掃除機をかけて綿ゴミを除去して、 空気が澄んだ状態で作業します。 私はレティクル面を塗装前処理剤の油分取りで清掃した後、 ゴミを一つずつ綿棒の先っちょで除去していきました。 眼鏡の超音波洗浄器とかがあれば、作業が楽そうです。 |
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ゴミが付着しないように、そっと、素早くレティクルを組み込みます。 組み込む際、ネジにはネジロック低強度を塗布して、 簡単に回らないように処理します。 ここまで組み込んだら、今度はアイベルを組み込み、 接眼レンズをはめた状態でキャントレティクルとレティクル面のゴミをチェックし、 問題があれば修正する、、、を繰り返していきます。 |
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視界が完全にクリアになって、組み込みが完了すれば完成です。 | |
4倍で約60m先のポールを覗いた画像です。 エッチングレティクルが一枚入ることで、透過率が悪くなり、像が暗くなることが懸念されましたが、 ワイヤーレティクルの時と殆ど変わらない見え味でした。 NATOレンジファインダーレティクルの特徴は、レティクル下部に簡易レンジファインダーを備えている点です。 決まった大きさの目標物がその目盛りの幅と一致すれば、目盛り上部の距離が目標物までの距離と言う感じになります。 レティクルも、ハッシュマークによるレンジングが可能で、細く見やすいものになっています。 今後、エアソフトガン射程内での距離関係などを調べていこうと思います。 今回は力業が多い作業でしたが、何とか成功したのでほっとしています。 |