パチポルドをファーストフォーカル仕様に改造する

掲示板でxfishさんにリクエストされたのでやってみました。
さすがにLEUPOLD Mark4を無傷でエレクターチューブまでバラす自信が無い(笑)ので
今回はメーカー不明のパチポルドに生贄になってもらいました。

ファーストフォーカルとは、スコープの第一焦点(First Focal Plane)に
レティクルを置く方式で、ズームと一緒にレティクルの大きさも変わるのが特徴です。
全倍率域において、レティクルのレンジングが使えるので
昨今、タクティカルスコープの主流となってきた方式です。

スコープの第一焦点は、エレクターチューブ先端のレンズ付近にあります。
と言うことは、エレクターチューブまでばらして、先っちょにレティクル置けば
ファーストフォーカルになるんじゃないか?と、
浅はかな考えと、現物合わせ根性で、今回もレッツトライです。
まずは分解です。
本家と同じく、スピードフォーカスの稼動部が一番後ろで止まります。
内部にカニ目ネジは見当たらず、2ピース構造でもなさそうなので
まずは手当たり次第、分解してみます。
スコープを分解するのに使っている自作道具です。
ラジオペンチの先端をグラインダーで薄く研いで、
カニ目ネジを回す専用のペンチに改造しました。

殆どのカニ目ネジはこれで回すことが出来ます。

滑ってレンズにでも当たったら、即DEAD ENDです(笑)
まずはイルミネーションノブをばらします。
蓋を外して、電池を取ると、電池ボックス外周にカニ目ネジがあります。
これを外すと、基盤がごろっと取れます。
次に、ダイヤルを止めているネジ4本を外します。
すると、基盤が1枚だけ残るので、はんだごてを使って
配線を外します。

すると、基部が丸見えになるので、ここのネジ2本を外します。
基部を外すとこんな感じです。
基部は樹脂製でした。
基部を固定しているネジの、接眼レンズ側が
レンズアセンブリをロックしているロックネジを兼ねているので、
基部を外すと、レンズアセンブリが取り外せます。
すると、見慣れたレティクルが出てくるので、
これを外します。
このパチポルドのレティクルは、ワイヤーレティクルです。
薄い金属板をエッチングして作ってあります。
次に、接眼ベルを外すのですが、
これが強烈に硬く、素手ではびくともしません。

スコープに良くある、強力なネジロックによる接着なので、
熱をかけて接着剤を溶かして外します。

例にもよって、今回も燃やしました(笑)

基本的にスコープは分解することを考慮していない設計と作りなので、
分解するときは、相当な荒業が必要になります。
次に、パワーダイヤルを外します。
突起部分にあるネジを外すと、エレクターチューブ内の
倍率を変えるヘリコイド(螺旋状のカム)とのリンクが外れます。
すると、パワーダイヤルを抜き取ることが出来ます。
次に、発光モジュールを外します。
ただ圧入されているだけなので、指で引っ張っただけで外れました。

ちなみに、接眼ベルを外す時にかけた熱で、
配線とLEDがお亡くなりになっています。

ファーストフォーカル仕様だとこのイルミは使えないので、
今回はそのままにしておきました。
最後に、エレクターチューブを固定するネジ3本を外して、
接眼側の作業は完了です。
次に、エレクターチューブ周りの作業を開始します。

まずはエレベーション、ウィンデージ、サイドフォーカスのダイヤルを外します。
サイドフォーカスは基部ごと回すと取ることが出来ます。
ここもネジロックがかかっていたので、熱をかけました。
このパチポルドは、ボディが2ピースなので、ここを外します。
ここも猛烈に強いネジロックが塗布されていたので、
じっくり熱をかけた後、マウントリングを装着し、
それをプラハンマーで叩いてネジロックを壊した後、回して取りました。

すると、チューブの中から変な部品が1個出てきます。
(画像真ん中の部品です)

これがサイドフォーカスレンズで、サイドフォーカスダイヤルを回すと
このレンズが前後し、フォーカス&パララックス調整すると言う仕組みです。
エレベーション、ウィンデージを目いっぱい緩めて、
エレクターチューブを接眼側に押し出すと、抜けてきます。
一緒に板バネも出てきます。
エレクターチューブは、こんな感じでダイヤルに押されています。
それでは、ファーストフォーカル化作業に入ります。

エレクターチューブ先端に、先ほど摘出したレティクルを装着します。
エレクターチューブ先端にあるレンズを固定しているネジを外すと、、、
なんと、レティクル基盤にピッタリ収まる寸法でした。
これを利用させてもらいます。
↑の画像の様にはめ込むと、途中で突っかかって
レンズががたついてしまうので、固定ネジとレンズの間に
薄いプラ板でスペーサーを作り、装着します。

この上から固定ネジを入れ、少し出っ張った状態にしておきます。
そのままエレクターチューブを組み込み、
慎重にレティクルを出っ張った固定ネジ部分に接着します。
固定ネジが回る為、キャントレティクルの補正は簡単です。

しかし、このままだと、エレクターチューブを保持する板バネを装着できないので、
板バネの代わりに、適当な強さのコイルスプリングを適当な長さに切って
板バネがあった位置に入れておきます。

本当はHAKKOのスコープの様に、コイルスプリングユニットをつければ良いのですが、
エアソフトガン用なので、そこまでしなくても良さそうです。

コイルスプリングが長すぎると調整量に異常をきたし、
短いとチューブが遊んでしまいます。
また、柔らか過ぎるとチューブが移動してくれないので、
適度な硬さと長さのスプリングが必要です。
後は、手順の逆に組んで完了です。

イルミは完全にダミーとなってしまいます。
まずは3.5倍で覗いた画像です。
改造前と、なんら変わりありません。
10倍にすると、しっかりレティクルが拡大表示されました。
しかし、微妙にセンターがずれているのが分かると思います。
これは、レティクルが基盤に対してセンターに装着されていない為で、
そのズレが拡大表示されることによって、見えてしまいます。

それと、気づいた方も多いと思うのですが、レティクル右側が切れています。
最後の最後で、ペンチを滑らせて、、、イ゛エ゛アァアアアァ゛ー orz

とりあえず、実験は成功でした。多分世界初のファーストフォーカルパチポルドです(笑)
第一焦点と言っても、結構位置はアバウトで良いのかもしれません。
レティクルがずれてしまうのは、こればかりは精度の高い物と巡りあうのを待つしかありません。