TASCO OEM PT4-16×56 のサイドフォーカス修理

先日、高橋さんが使っていたPT4-16×56のサイドフォーカスが
効かなくなったとの知らせを受け、借りてきて修理してみました。

このPT4-16×56は、PTが発売された当初に購入したもので
ゲームや30mチャレンジで、ずっと酷使されてきた個体です。

サイドフォーカスダイヤルを回しても、画像に変化が無く
感触もおかしいとの事でした。
問題のサイドフォーカスダイヤルです。
ダイヤルカバーは側面のマイナスネジ1本で外れます。
外してみた画像です。
調整ダイヤルは、取り付け基部、押さえネジ、稼動ダイヤルの
3ピースに分かれています。
押さえネジはバルブレンチを大きくしたような専用の工具を作らないと
外すことが出来ません。

金色の部品はダイヤルの回転角調整部品で、
差し込んで接着してあります。

これの位置を変えることで、ダイヤルの回転角を変えることが出来ます。
取り付け基部はメインチューブにネジ止め&接着されているので
ガスバーナーで軽く炙り、接着剤を溶かして外します。

この際、取り付け基部をそのまま回すと
サイドフォーカスのリンクパーツが引っかかるので、
サイドフォーカスダイヤルを回しながら、取り付け基部を回して外します。
PT4-16×52のサイドフォーカス部分はこのようになっています。
金色のネジ止めされている真鍮パーツが
サイドフォーカスダイヤルとリンクする真鍮パーツで、
ここが前後することでレンズの位置を変え、
パララックス調整を行います。

周りに白く見えているのは、全部接着剤です。
剥がれてレンズに付着しないように、注意しながら作業します。
レンズに付着した場合、全バラしないと取れません。
ダイヤルには稼動する真鍮の棒状の部品が付いています。
これがダイヤルの回転をレンズの前後運動に変える
リンクパーツになっています。
よく見ると、レンズ側の四角いパーツと噛み合う突起のうち、
1本が折れてしまっています。
これが原因で、ダイヤル回転をレンズの前後運動に変えられずにいた様です。

折れた破片は、四角い真鍮パーツの横のグリスの中に紛れていました。
そこで、純正寸法をトレースして真鍮丸棒からパーツを造りました。
旋盤で外形を切削し、噛み合う溝はフライスで削ります。

これを組み込んで、正常に動作することを確認しましたので
作業完了です。

この折れた純正パーツ、噛み合う溝を「やすり」で削っていました。
溝も曲がっていて、外周もボロボロだったので
相当加工が汚いところで製作したパーツのようでした。

高解像度のサイドフォーカススコープが手に入るようになりましたが、
こういう見えない所で手を抜いているのは、正直残念です。