MOA
スコープ、ダットサイトの光学機器を手にすると、必ずと言っていいほど目にする文字です。
MOAは正式には「Minuts of Angle」と言い、分単位角度と言う意味です。
これは、光学機器の性能を示す、独自の単位の1つです。
「分」は「度」の1/60の大きさで、北緯○度□分×秒と言う風に、地理の授業で習ったと思います。
つまり、1MOAは1/60°、0.0167°となります。
スコープやダットサイトの説明書を見ると、「1クリックで○○MOA」と言う風に書いてあると思います。
これはレティクルの移動量を表し(実際レティクルは動かず、スコープ内の像が動きます)
1クリックでスコープの中心軸から○○MOA、つまり何°移動するかを示しています。
一般的にスコープでは1クリック 1/4MOAが主流で、細かい物では1/8MOAと言う物もあります。
1クリック1/4MOA、1MOAが0.0167°なのでその1/4、つまり0.004167°動くことになります。
写真はTASCO EUROCLASS 6×44のエレベーションノブです。これは1クリックで1/4MOA動くことを表しています。
では、実際にMOAを活用したゼロインの例を見てみます。
弾が必ず30mまっすぐ飛んでいく素晴らしいエアガンがあるとします(理想のエアガンですねw)
そのエアガンで30mチャレンジを行ないました。
スコープを乗せ変えたばかりで、全然ゼロインができていない為、ゼロイン作業を始めます。
まず、的を撃ってみると下の様に着弾しました。中央から左へ10cmの位置です。
スコープは、1クリックで1/4MOA動くタイプのものを使用しているとして、
何クリック右へ動かすと、理論上ど真ん中に命中するかを求めます。
まず、30mでこのスコープは1クリック何mm動くのかを求めてみます。これは、以下の式にて求められます。
移動量 = 距離 * MOA * 0.000291
これに数値を当てはめると
移動量 = 30 * (1/4) * 0.000291 = 0.0021825m = 2.1825mm
となります。補正したい量が10cm(100mm)ですので、
クリック数 = 100 / 2.1825 = 45.81、、、 約46クリック
となります。つまり、この場合は46クリック右に着弾点をずらしてやると、レティクルのほぼど真ん中に命中すると言う事になります。
46クリックと言われるとかなり多いような気がしますが、距離が近いと移動量が小さくなりますので、実際はこの位回しています。
ちなみに、一番上の写真で紹介したスコープはノブ1周で60クリックありました。
この様に計算してみると、無駄にダイヤルをグリグリ回さなくてもある程度ゼロインができます。
エアガンの場合、30mも離れると弾が散ってきますのでレティクルのど真ん中に100%命中というのは無理があります。
この場合、10発程度的に撃ち込んでみて、その着弾パターンの中心をレティクル中央に持ってくる様にすると良いでしょう。
上の式に当てはめると、1MOAは100ヤードで26.6mm(100mでは29.1mm)動く事になるのですが、アメリカではなんと25.4mm(1インチ)としています。
エアガンの世界ではそこまで弾が飛ばないので無視しても差し支えないのですが、
実銃の世界ではややこしい問題になっているようです。
このように、スコープ、狙撃の世界ではヤード、インチ、メートルの単位がごちゃ混ぜになっています。
これも、話をややこしくする要因の一つでもあります。