フォーカスとパララックス(視差)



スコープの機能に、「フォーカス調整機能」という物があります。
フォーカス調整機能は大別すると対物レンズに備わっている「フロントフォーカス」、
本体中央横(左側)についている「サイドフォーカス」、
後ろについている「リアフォーカス」の3種類があります。

 
(写真はTASCO AG3〜9×WAのフロントフォーカスとG&P M3レプリカのサイドフォーカス)

スコープはその作り、倍率により対象物とレティクルのピントが一致する焦点距離という物があります。
この距離から外れると、レティクル、対象物のピントが一致しなくなります。
距離に応じ、ダイヤルを調整することによりこれらの現象を解決するのが
フォーカス調整機能ですが、この機能にはもう一つ大きな役割が備わっています。
それは「視差の補正」です。

スコープを真正面から覗いた時、像がスコープの輪郭に沿ってきれいに見えますが
覗く位置を横にずらしてみると、像に影が写り、よく見えなくなります。
 
(写真左が正しく覗いた時の像、右が右にずれて覗き込んだ時の像です)

実はこの時、スコープの焦点距離が正しく合っていないと像に影が映り込むだけではなく
像自体が動き、着弾点が変わってしまう現象が起こります。それを「視差」と言います。
視差に関して、以下の写真を見てみます。



上の写真は、15m先のポールを9倍で覗いた時の写真です。フロントフォーカス設定は15mにしてあります。
レティクルとポールの焦点は一致して、鮮明に見えます。ポールの直径は約30mmです。


右にずれて覗き込んだ時の写真です。レティクル位置は正面から見た時と変わっていません。


今度は左にずれて覗き込んだ時の写真です。こちらもレティクル位置は変わっていません。


次に、フロントフォーカス設定をわざと25mに設定して、焦点をずらして見ます。


焦点距離が合っていない像です。ポールの輪郭がぼやけて見えるのが分かります。


右にずれて覗き込んだ像です。
レティクル中央部の黒い部分を比較すると、明らかに狙点がずれているのが分かります。


左にずれて覗き込んだ時の画像です。こちらでも、狙点が左にずれているのが分かると思います。
ずれ具合から見て、約10mm程狙点が移動していると推測できます。
撃つ度に覗く位置が異なると、グルーピングはどんどん広がっていきます。

上の比較から分かる様に、フォーカス機能には視差を補正する機能もあります。
15mでこれだけずれるとなると、30m、40mでは大分ずれていることが分かります。
フォーカス調整機能無しのスコープのスペック表を見ると、パララックスフリーと言う距離が明記されていると思います。
これが、そのスコープの視差が最小になる距離を表しています。
狩猟用等のスコープは100〜150mで視差が最小になるようにセッティングされている物が多いと聞きます。
ベンチレスト等、シビアな競技用はこの視差が重要問題となるので、ほぼ必ず、何らかの視差調整機能が備わっています。
エアガン用の廉価版スコープにこれらのスペックが記載されていないのは致命的な事と言えます。

ゼロインした銃を他人に撃たせてもすぐには当てられないと言います。
これは、人それぞれ覗き方が違い、視差が生じている為とも言われています。
エアガンでも同じ事で、少し左を覗く人と少し右を覗く人では狙点自体が違う為、同じ銃でも結果が違ってきます。

もう一つ、焦点が合っていない場合にグルーピングを乱す要因があります。
それは「レティクルと対象物の焦点が違う」と言うことです。
お互いの焦点が合っていない場合、人間の目はどちらか一方に焦点を合せようとします。
レティクルに焦点を合せた時と、対象物に焦点を合せた時ではこれまた像の位置が異なり、着弾点が一致しなくなります。
10m等の近距離で、フォーカス調整機能を備えていないスコープを使用すると焦点が思いっきりずれ、
この現象と視差の影響を大きく受けグルーピングが広がってしまいます。
この場合、「視度調整」を用い、人間の目とレティクルのピントを合わせてからフォーカス調整を行う必要があります。)

視差の大きさはスコープの作りによって大きく変わってきます。
高額なスコープは視差の影響が少なくなるよう、様々な工夫が凝らされているようです。
焦点調整機能の無いスコープを購入、使用する時はそのスコープの視差が最小になる距離を
把握しておく必要があります。
ただ、これはちょっと手に持って覗くだけでは判別しづらいので、確認が難しいです。
メーカーに連絡が取れれば、そこで聞くのが一番だと思います。

至近距離を撃つ場合、必ずその距離に対応した焦点調整機能を持つスコープ又は
その距離で焦点の合うスコープを使用する事を強くお勧めします。