FNH SPR A4 SS製作記

昨年、M40A3製作用にと落札したフォートレス製
McMillan A4タイプストックですが、肝心のM40A3の製作を中断することとなり
どうしようかと悩んでいたところ、ふと昔見た記事に
M70アクションをMcMillan A4ストックに乗せた「SPR」と言うライフルがある、と言う事を思い出し、
早速リサーチを始めてみました。
「SPR」は「Special Police Rifle」の略称で、ストックやバレルなどの違いにより末尾の「A○○」が変化する数種類のモデルがあります。
FNH(Fabrique Nationale Herstal)が供給しているミリタリー、ポリス向けライフルで、Pre’64のアクション(近代加工技術による再現版)に
自社製24インチ、ないし20インチのヘビーバレルを搭載しており、実銃はコンスタントに0.5MOA(100ヤードで12.7mm)以下のグルーピングをマークします。

・FNH SPR A1 : McMillan A3ストック + 24インチヘビーバレル
・FNH SPR A1a : McMillan A3ストック + 20インチヘビーバレル
・FNH SPR A2 : McMillan A4ストック + 24インチヘビーバレル
・FNH SPR A4 SS(Shooting System): FNH SPR A2 + スコープ + バイポッド(今回製作するのはこのモデルです)
・FNH SPR A3 G : McMillan A3ストック(アジャスタブル版) + 24インチフルーテッドヘビーバレル
・FNH SPR A3 G SS(Shooting System) : FNH SPR A3 G + スコープ + バイポッド
・FNH SPR A5 M : McMillan A5ストック(アジャスタブル版) + 24インチフルーテッドヘビーバレルないし20インチヘビーバレル
・FNH SPR A5 M SS(Shooting System) : FNH SPR A5 M + スコープ + バイポッド

この様なバリエーションがあり、SS(Shooting System)では、スコープとバイポッド(Harris)がセットとなります。
FNH側で用意したSS用のスコープとしては
・Leupold Mark4 3.5-10×40 LR/T M1(レティクル不明)
・NightForce NXS 3.5-15×50 Mil-Dot
・Schmidt & Bender 3-12×50 PMU(レティクル不明)
の3種類があります。

今回モデルアップするのは、FNH SPR A4 SS(以下、SPR A4)になります。
SPR A4は極少数ながら海兵隊に納入されているらしく、現地での写真も見つけることが出来ました。
ゲームでU.S.M.C.装備をして使用しても、違和感無いかな〜と勝手に思い込んでいます(汗)

参考HP
・FNH USA (ttp://www.fnhusa.com/)
・FNH SPR wikipedia (ttp://en.wikipedia.org/wiki/FN_Special_Police_Rifle)
・Shooting Tips (ttp://www.shootingtips.com/)

ストックはM40A3製作から引き継いだ物をベースとし、アクションは高い実射性能と概観を崩さない給弾方式のK.T.W. M70 BSを使用することにしました。
まずはM70 BSのアクションが乗るように、張り出しているリブをさっぱり切り落とします。
トリガーガードが収まるように、後部ベディングスクリューの座繰りも広げておきます。

この状態では、強度的に非常〜にヤバイので、慎重に作業を進めます。
内側もガリガリ削ります。ここまでディスクグラインダー1本で根性の作業です。

ディスクグラインダーで削ると、繊維状のヤバイ切り粉がたくさん出てきます。
実銃の写真を見ながら、アクションの潜り込み量を調整します。
ガス抜き穴がストック上面より若干出るくらいの量で、
バレルセンターはストック上面より上になっています。
エジェクションポートはとりあえず長さだけ伸ばしてあり、
最終的にパテで成型します。
マガジンガイド(前部ベディングブロック)が引っかかる部分を
エポキシパテで成型します。
肝心な部分なので、慎重に作業を進めます。
後部ベディングエリアですが、ストック後部とアクションの間に隙間が開くので
ストックに固着用アンカー(タッピングねじ)を何箇所か打ち込んだ上で
広くエポキシパテを盛りつけ、ベディングエリアを成型します。
アクションを収めた画像です。
ここもディスクグラインダーで荒取りした後、手作業にて成型します。
結構盛っています。
ボルトハンドル部分もVSRアクションとは位置が違うので、前側にずらしています。
広がった部分は埋めて成型します。

レストアした時に盛ったメグミックス部分も、ディスクグラインダーで荒取りしました。
滅茶苦茶硬く、金属を削っているような感触でした。
アクションを収めてみた画像です。
後部ベディングピラーは真鍮パイプで、まだストックに埋め込んでいません。
マガジンがこのように入ります。
トリガーガードを装着してみた画像です。
タナカM700、M24のダコタタイプに合わせて削ってあったので、
少し隙間が開いてしまっています。ここも後で成型します。
K.T.W. M70アクションの醍醐味はフォロアープレートを開けて
スティックマガジンを入れて給弾できる機構にあります。
概観を崩さずに、実用的な給弾方式となっています。
トリガーガード前方が引っかかる部分がまだ無いので、
アクションはストックに固定されていません。
この部分をこれから作っていきます。
負荷のかかる部分なので、ストックの強度確保も兼ねて
5mm厚のアルミ板を埋め込んで、アンカー&エポキシパテで固定した後に
低粘度流し込みタイプのエポキシ樹脂を流し込んで完全固定&成型します。

パテやエポキシ樹脂でストックの成型が済んだら、
外側にグラスファイバーを貼り、本家McMillanストックの様に
グラスファイバーシェルを形成します。これによって、最終的な強度を確保する予定です。

次回はストックの細かい成型と、アウターバレル製作に入ろうと思います。

続く
2009.6.16

ここに来て、最大の間違いが発覚しました。
SPR A4は実銃では口径が.308ないし.300WSN(Win Short Mag)の2種類で、
アクションは「ショートアクション」になります。

ところがK.T.W.のM70は.30-06の「ロングアクション」でした(滝汗)
ロングをショートに詰めるとなると、新規設計製作に匹敵するレベルなので
とてもうちにある機材では無理、、、

という事で、最近流行の大口径化カスタムによるケース長の増大を視野に入れた
タクティコーな世代のカスタムSPR A4という事で、勘弁してくださいorz

んで、作業の続きです。
本来、VSRのマガジンが入る部分を埋めていきます。
まずは全体の補強となるように、M4のネジを2本打ちます。
トリガーガードが引っかかるステーの土台も兼ねています。
ステーに5mm厚のアルミ板を使用すると書いたのですが、
丁度良いステンレス(SUS304)の3mm厚ステーがあったので、これを使います。
トリガーガードとの噛み合いも考慮し、高さを調整してエポキシ接着剤で
ネジに仮止めします。

ステーの前後にあるネジはパテに食い込むアンカーで、ワッシャーを使って
アンダー形状になるように作ってあります。
ストックにも、不要になったタッピングネジを6箇所打ち込んでアンカーにします。
いつものエポキシパテを盛っていきます。
まずはステーの固定が先決なので、前後をしっかり埋めます。
アンカーにしっかりかかるように、入念に押し込みます。
固まったら、マガジンガイドを同じくエポキシパテで成型します。
最終的にステー付近はエポキシ樹脂を流し込むので、
他に漏れないように箱組み形状にしておきます。
前側の穴を埋めます。
ここにホップ調整ネジがくるので、ネジ穴をあらかじめマーキングしておきます。
真ん中の大穴を埋めます。
穴が深く広いので、エポキシパテだけでは量がかさみ、もったいないので
不要になったBB弾を敷き詰め、エポキシパテで蓋をするように盛り付けます。
その際、盛ったパテが剥離しないようにアンカーにかかるようにします。

BB弾の間には隙間があるので、そこにうまくエポキシ樹脂が流れてくれれば
万事OKです。
気になっていたトリガーガード後方の隙間も埋めておきます。
完全乾燥したら、削って成型していきます。

今回はここまでで、パテが完全硬化するまで待ちます。
次回は隙間にエポキシ樹脂を流し込んでいこうと思います。
2009.6.26

天気も良く、作業日よりだったので工房前でストックの加工を行いました。
先日、新兵器「エアブローガン」を導入したので、粉物の掃除が楽になりました。

流し込み用エポキシ樹脂の硬化時間が異常に長く、作業性が悪かったので
後回しにしました。
レシーバー後部に盛っていたエポキシパテを削り、成型していきます。
ディスクグラインダーで荒取りを行い、最後はヤスリ1本で仕上げていきます。

レシーバーがレミントンアクションより上に浮いている為、
純正ストックより4〜5mmほど厚くなっています。
少しデフォルメが入りますが、この部分は肉が薄く折れやすい部分でもあるので
補強も兼ねて一石二鳥だと割り切ります。

レシーバー内部が粉だらけです(笑)
エジェクションポートにもパテを盛り、成型していきます。
本体エジェクションポートに合わせ、ストック側を気持ち凹ませます。
補強アンカーを打ったので、その穴も埋めておきます。
本来VSRのマガジンが収まる部分も、このように塞いでしまいました。
本当はホップ調整穴を開けようと思ったのですが
使う弾も限られていますし、一回調整してしまえばOKなので
ホップ穴は開けないことにしました。
若干パテが足りていない部分や欠けた部分、細かな傷を
ポリパテで修正していきます。
大体こんな感じになりました。
ボルトハンドルの切り欠きもレシーバーに合わせて移動させてあります。

これで、ストック概観の主な修正は終了しました。
後は内部の隙間を埋め、レシーバーが納まる部分の内側を補強した後で
ストック全体にFRPを貼り、本家McMillanと同じシェルを形成します。
FRP用の素材や樹脂は発注したので、届き次第作業に入ります。
2009.6.29

今日はFRP用のポリエステル樹脂のテストも兼ね、
ブルバレル化の作業を進めていきます。

まずはマズル先端の径と形状を決める、キャップを製作します。
画像採寸ですと、マズル先端の径でφ22mだったので、
BSのアウターバレル先端に装着できるように、φ22mmのキャップを作ります。

素材は真鍮で、クラウンはステップドクラウンとしました。
BSのバレルに圧入で装着します。
以前、VSRのバレルを太らせる時に「はんだ」を密に巻いて、
樹脂でコーティングしようと思いましたが
はんだ自体が樹脂を吸い込まず、強度的にもNGなので
今回はFRPの様に、樹脂を吸い込む素材を使っていきます。

今回使用したのはオオサキメディカルのクリーンネットと言う
伸縮性のチューブ型包帯です。
これを靴下の様にバレルに被せ、FRPと同じく樹脂を染み込ませて硬化させます。
こんな感じで被せます。

K.T.W. M70シリーズのバレルは2段テーパーとも呼べる
根元から急激に細くなり、その後緩やかなテーパーを描く形状になっています。
なので、1層目は緩やかなテーパー部分と急激なテーパー部分の
差を埋めるような形で配置、硬化させます。
写真はポリエステル樹脂を染み込ませていている時の物です。
一気に染み込み、硬化するとガチガチに固まります。
かなり硬質で、叩くと金属質な音を響かせます。

この後ささくれや出っ張りをペーパーで軽く慣らして
層を重ね、最終的なテーパードブルバレルとします。
2009.7.4

今日はF井さんの工場にお邪魔させていただき、
ストックとバレルの製作を進めていきました。

休日に付き合っていただき、機材や資材を貸していただいたF井さん、
工場のスタッフの皆様、ありがとうございました。
まずはストックのFRP加工からかかります。

この日の朝、先日購入したFRPキットのポリエステル樹脂を
ストックの目立たない部分に盛ってみましたが、あまり食いつきが良くありませんでした。

フォートレス M40A3タイプストックの材質は硬質ウレタンらしいのですが
このストック、脱脂しても内部からどんどん油分が出てくるようで
特定の接着剤やパテの食いつきが良くありません。

ポリエステル樹脂が食いつかないと、FRPを形成することが出来ないので
F井さんからアドバイスを貰い、ストックの表面処理を行う事にしました。
まずは出っ張りとなる側面とグリップのシボ加工を全て削り落とし、
フラットな状態にします。
また、面に80番のペーパーをかけて足つきを良くしておきます。

それが終わったら、削り粉をエアブローで落とし、シンナーで脱脂します。
次に、側面と底面に粘着材付きのガラステープを貼り付けます。

表面に1層ガラスクロスを敷いて、その上から
ウレタン素材に強烈に食いつく接着剤を塗布し、極薄いFRPを形成、
そのFRPの上に厚いFRP層を形成すると言う手法を取ります。
使用したのはDUAL-MIX 39767と言う2液混合型の接着剤です。
この接着剤は車のウレタンバンパー等の補修に使われる物で、
PP(ポリプロピレン)やTPO(熱可塑性ポリオレフィン)等の難着材や
ウレタン、ABS素材に対して、プライマー無しで強力な接着力を発揮します。

硬化時間が物凄く早く(5分程度)で、少し出しては塗って、、、を繰り返します。
側面、底面のガラステープにしっかり浸透するように塗りこみます。

完全硬化したら、サンダーでガラステープがギリギリ見える位まで
薄く削り、形を整えます。

このDUAL-MIXにはポリエステル樹脂が食いつくので、
ここからさらにFRP層を形成します。
先日作業を進めたバレルです。
あれからもう1層重ね、かなり太くなりました。
ヤスリで大まかな凹凸を慣らした後、ポリパテで埋めていきます。
金尺を当てて曲がりを確かめながら削って成型していきます。
その後、2液性のサーフェイサーを塗布し、
ヒーターで満遍なく加熱していきます。

こうすると内部に残った気泡が表面に浮き出てきて、それをわざと潰して穴にして
そこにパテを充填→慣らす事で気泡を無くしていきます。
乾燥中にストックを進めていきます。

ストック後部は曲面が多く、ガラステープが馴染みにくいので
このストックを補修した時に使用した2液混合型ウレタン接着剤
「メグミックス」を薄く塗布し、それをプライマーとします。

側面、底面のFRPと融合させることでグリップ部分のFRPも
強固になるのもあり、プライマーとしてFRPは使用しませんでした。
盛った部分を慣らし、ストックの表面処理は終了しました。
FRPを形成する下準備を進めていきます。
ベディングエリアや内側は入念にマスキングします。
まず、ストックにポリエステル樹脂を塗りこみます。
この上からガラスマットを敷くことで、素材への密着度を高めます。

ガラスマットはあらかじめカットしておき、ほぐして1プライにした
マットを敷き詰めていきます。

*1プライ*
ガラスマットやクロスを重ねた枚数の単位で、
ガラスマットなら450番で市販されているシートが2〜3プライになっている様です。
敷き詰めた上から、満遍なく樹脂を染み込ませ
気泡を追い出すように入念に塗りこんでいきます。
1プライを塗りこんだ後、もう1プライ重ねて塗りこんでいきます。
まずはF井さんの作業を見学&手法やコツを教えてもらいました。
本職なので作業が早く、仕上がりも非常に綺麗です。
折り返し部分は剥がれやすいので、入念に塗り固めていきます。
熱をかけ、硬化促進させ短時間で固着させます。
固まったらベルトサンダーではみ出した部分や出っ張りを整えていきます。

至高のチクチクタイムの始まりです(笑)
ストック後部を施工中(撮影 F井さん)

半袖着てくるんじゃ無かったですorz
グリップ部分は急激な連続曲面で構成されている為、
そのままではマットが貼れないため
GUN誌DVD McMillanストック工場の作業の様に
細かく短冊状に切ったマットを何枚も貼り付けて曲面を出していきます。
熱をかけて乾燥中です。
FRPはバット部分の真ん中あたりまでで、後は硬質パテでコーティングします。
これで、ストックは先端からバット後部までFRPの外殻で包まれました。
硬化した後、面だしと荒仕上げを行ったストックと
中仕上げまで作業が終わったブルバレルです。

ストックは初期状態とは比べ物にならない位の強度となり、
インナーに補強フレームを入れる前にもかかわらず
軋みや歪みが無くなり、叩いた音も「カンカン」と硬質な物に変わりました。

これからベディング最終調整と内部補強、細かい部分を硬質パテで埋め、
特殊な塗料で荒いシボ加工を再現した後でサーフェイサーを塗り、塗装となります。

バレルは微細な傷を仕上げ用パテで埋め、サーフェイサーで仕上げ
塗装、最後に硬質のトップコートでコーティング予定です。
2009.7.21

先日製作したバレルがかなり太かったことが発覚(笑)

そこで、全体を均一に削るのと、作業の効率化を図るために
旋盤を使おうと思ったのですが、うちのミニ旋盤は芯間が350mmしかないので、
アウターバレルは加工できず、、、だったのですが、根性で何とかしてみました。

画像が現在の状態です(笑)
旋盤の芯押し台を、隣に置いてあるボール盤のテーブルに取り付け、
芯押し台と旋盤本体をセパレート構造にしました。芯間1000mm位まで行けます(笑)
もちろん刃物は今までどおり350mm内でしか動かないので、
ペーパーがけ程度しかできません。今回はそれで十分でした。

また、剛性も何も無い状態なので、殆ど人間の手加減に左右されます。

旋盤と芯押し台のセンター出し?
気合と根性でなんとかす(ry
(セッティングから芯出しまで、20分かかりました)

とりあえず、この状態で80番のペーパーをかけながら
全体の肉削ぎと歪み取りを行っていきます。
2009.8.26

やっと仕事の繁忙期も終わり、作業を再開しました。
まずは凹みだらけだったストックの面だしからです。
凹みにポリエステル樹脂を盛り、ハンドサンダーで荒削りした後に
80番の紙ヤスリで面を出していきます。

これを何回か繰り返し、少しずつ表面をきれいにしていきます。
埋まっていたQDアタッチメント穴も開けなおします。
リューターで穴を広げていき、少し大きめに開けたところで
離型剤を塗ったQDアタッチメントを挿入、そこに樹脂を盛って硬化後に削って
エッジを出し、ファイバーの目止めを行います。
こんな感じになります。

ちなみに画像はありませんがベディングを見直し、
さらに深く機関部が沈むようにしました。
機関部の位置が決まったので、エジェクションポートに合わせて
ストックを削り込みます。
作業を某所に移し、再びF井さんのお世話になりました。

まずは全体を脱脂し、塗装台に取り付けます。
ストックとバレル全体に2液性のサーフェイサーを吹き、
見えなかった傷を出していきます(撮影 F井さん)
こんな感じで塗っていきます。
この様に、素や傷がゴロゴロ出てきます(笑)
削り段階の作業の甘さが浮き彫りになっています。
サーフェイサーを焼付け、隠れている気泡を浮き上がらせます。
溶剤を混ぜ、粘度を低くしたポリパテを用いて
小さな傷を消していきます。
シリコンゴム製のへらを用い、手早く塗りこんでいきます。
(作業:F井さん 撮影:私)
硬化後、120番のペーパーで再び面だしをします。
小傷が埋まったので、表面を仕上げていきます。
400番の耐水ペーパーで水砥ぎし、表面をツルツルに仕上げます。

この後、表面を脱脂して乾燥→粘度の低いサーフェイサーで仕上げます。
ストックの色は、スタンダードなOD色を選びました。
サンプル画像を見てもらい、塗料を調合してもらいました。

今回使用した塗料は1液でも2液でも使用できるハイブリッドタイプの
ウレタン塗料だそうです。塗装は2液で行いました。
再び塗装ブースに移動し、色の塩梅を見たり全体のバランスを見るために
捨て吹きを行います。
F井さんに手本を見せてもらい、この後私も挑戦してみました。
こんな感じになりました。
捨て吹きなので、つや消し仕上げにする為のフラットベースを配合していないので
つや有りODになっています。
これも焼付けし、強固に定着させます。

今後、もう一度水砥ぎしてベースを整えシボ加工を施した後、
本番用の塗料で塗装→トップコートでストックは完成となります。

マルイL96の発売日までに完成と行きませんでしたが、
作業はいよいよ大詰めに入ってきました。

今回もF井さんと工場のスタッフの皆様に大変お世話になりました。
いつもありがとうございます。
2009.9.8

先日、サフと塗料を塗った厚みでトリガーガードが入らなくなったので
再びベディングし直します。

ヤスリで塗膜を落とし、小修正で入りました。
給弾ブロックをつける為、バレル下部にある給弾口部分の樹脂を剥ぎ取ります。
リューターを作業場へ忘れてきたので彫刻刀で削り取りました。
純正バレルに比べ、こんなに厚くなっています。

仮組みが終わったら綺麗に成型し、目止めの樹脂を塗ります。
こんな感じになります。

レシーバー前方にあるブリッジ状のベディングパーツを削り込み、
レシーバーがストックに深く潜り込むようにしています。
純正より、レシーバー〜トリガーガードの隙間が狭くなっています。
ストックに乗せると、どこかが干渉しているようで
アクションが浮き上がってしまいました。
以前、補強にと埋め込んだネジにホップ調整ネジが干渉していました。
ネジをディスクグラインダー+切断砥石で切断し、周りの樹脂も削りました。

ちゃんと確認すればよかったですorz
まだ調整ネジが干渉してるので、取っ払ってしまいました。
ホップはMAX状態で使用するので、変わりにM3のイモネジを突っ込んでおきました。
アクションを乗せ、マガジンを入れたところ干渉して入らなかったので
マガジンガイド部分を削り込みました。
今度はちゃんとマガジンが入りました。

これで大まかな加工は全て終了しました。
後は細かいベディングの隙間や荒い部分の仕上げを残すのみです。
仮組してみました。
ちゃんと発射も出来るようになっています。

ようやく全体像が見えてきた感じです。
最後の最後まで気を抜かずに作業したいです。
2009.9.11

ストック加工の最終工程を行うため、三度F井さんの所を訪れました。
今回はストックへのシボ加工と塗装最終工程を行いました。

まずは元型から採寸したマスキングをストックに施します。
マスキングテープにてマスキングを行い、、、
シボ加工は高くなるため、ダンボールで壁を作ります。
反対側も同様の処理を行います。
グリップ部分はガムテープとマスキングテープを積層して
厚みを稼ぎます。
今回シボ加工に用いたのはENDOXのACC 3000−1と言う
車の下回り塗装用、耐チッピング塗料です。

専用のガンで、吹き付けのパターン調整が可能です。
まずは180番で足付けを行います。
ACC 3000−1を1回吹き付けた様子です。
粘度が高く、この様にスプラッシュ塗装に近い立体塗装ができます。
これをタレないように乾燥させながら3〜4回吹き付けます。
側面も同様に処理していきます。
4回吹き付けた画像です。
元のシボ加工そっくりのパターンになります。
ハンドガードはこの様な感じです。
塗膜が厚い為、完全乾燥には1日以上かかります。

この上から最終塗装を行うことで境目がぼやけ、
一体モールドで成型されたように見えます。
レシーバーやマガジンキャッチを塗装していきます。
こちらは400番にて塗装を剥ぎながら足付けしていきます。
バレルは600番で足付けを行います。
遠赤ヒーターで焼きながら塗装を行います。
こんな感じで少しずつ塗っては焼き、、、を繰り返します。

今回使用したのはカンペハピオの耐熱600℃テルモスプレー つや消し黒です。
F井さんがVSRに使用していたのを見て、同じものをと思いました。

塗装直後はまさにストーブの地肌で、粒子が粗くザラザラしていますが
使い込んだり触ったりしていくうちに粒子が潰れ、パーカーに近い色合いになります。

今回は手っ取り早く1500番のミガキロンZ(スポンジやすり)で粒子を潰しました。
最後に、ストックに塗る色を調色してもらいました。
最終的に迷彩塗装とする為、そのベースカラーとなる色でお願いしました。
今回お願いした色はMcMillanのカタログにある「WOODLAND BEGE」で、
M40A3やXM3のオリーブ色をかなり明るめにした色です。
調色でテスト吹きしていただいたサンプルです。
一番右が前回捨て吹きしたつや有りODで、一番左が今回調色してもらった
WOODLAND BEGEです。

今回はフラットベースと言うつや消し仕上げになる塗料も入り、
それに硬化剤を入れることで2液性ウレタン塗料となりました。
まずはミッチャクロンと言うプライマーをストック全体に吹き
塗料の密着性を高め、調色した色を吹いていきました。
塗り終わり、西日を受けるストック。
その後2時間ほど焼き付けし、
乾燥した後にアクションを仮組みしました。

次はストックの迷彩塗装後、アクションを組んで完成となります。
別口で進めているマウントリングとセットで使用する予定です。

今回の作業で、FRP成型〜塗装までの工程は終わりました。
F井さんの所の工場にまる3日間お世話になってしまいました。
F井さん、工場の皆様、本当にありがとうございました。
2009.9.15

残った作業を進めていきます。

アクションの潜り込み深さが変わったので、ベディングピラーを作り直します。
材料は電動ガン用バレルで、アンカー溝をヤスリで掘っています。

これをストックに埋めてエポキシで接着後、再ベディングを行いました。
迷彩塗装を施そうとフィールドに持ち込んだのですが、
結局どんな迷彩にするか結論が出ず(笑)
スタンダードなOD色で一旦塗っておき、後からじっくり考えることにしました。

使用したのはいつものタミヤ オリーブドラブ2です。
ウレタン塗装の上からスプレーしましたが、ベースカラーが明るいので
発色が良く綺麗に仕上がりました。
スコープ、バイポッド、スリングを装着して完成です!

McMillan A4ストックレストア計画からスタートした今回の製作プロジェクトですが
紆余曲折を経て、ここに完結いたしました。
これでベースとなるライフルが完成しましたので、
ここからバージョンアップやカスタムを行っていこうと思います。

ここに至るまで、大変多くの方の力をお借りしたことを
この場を持って、お礼申し上げます。ありがとうございました。

Special Thanks

K.T.W.
高橋さん
F井さん
F井さんの職場の皆様