KJチャンバーレポート

ヤフオクで販売されているタナカ ガスボルトM700シリーズ用の
カスタムチャンバー「KJチャンバー」のレポートです。

画像は、今回テスト用にお借りしたM700 AICSに組み込まれていた
BEST GUN製のチャンバーとハウジングです。

こちらは新宿のカスタムショップ エアボーン様にてカスタムされた品で、
ハウジングとバレルナット、バレルのホップ窓に一部加工が施されています。
バレルはKMのTNバレルがベースっぽく、
窓部分を加工して、電動ガンのホップ窓の様にしています。
これがBEST GUNのホップパッキンです。
長いスリーブ状のパッキンの中に、マルイ電動ガンパッキンの様な
突起が設けられています。
こちらがノズルです。
段付き加工され、TNコートと思われるコーティングが施されています。

ちなみにノズル長は約10mm足りておらず、
超がつくほどの躓きホップです。
こちらがBEST GUNチャンバーを組んでいる状態での30m 10発×3のグルーピングです。
今回実験で用いたAICSは、ガス圧の変動を抑えるため、外部ソース仕様でデータを取っています。
基準は室温21℃時の初速で、SUS0.2g、93m/sに合わせてあります。

グルーピングはノーマルとほぼ変わらず、2発、3発、3発的外となりました。
当たった弾も、満遍なく散っている感じです。
こちらが今回レポートするKJチャンバーです。
台湾のKJワークス製チャンバーで、最大の特徴は
マルイ VSRのパッキンが使える事です。

バレルはM700 AICSのバレルを小加工した物を使用します。
まず、バレル後端から20.2mmの位置より、
前方に0.95mmの溝を掘ります。
これはパッキンの前側にある溝がはまる部分です。

旋盤で加工できない場合、チャンバーにはみ出したパッキンが
出っ張ってしまう為、その部分を切り取って、
気密漏れしないようにシールテープ等で気密処理をする必要があります。
次に、バレル後端から11mmの位置でバレルをカットします。
後は面取りして、パッキン下の溝がはまる部分を
三角ヤスリで彫ってあげれば、バレルの完成です。

AICSのバレルはホップ窓が四角いタイプで、そのまま使えるのが特徴です。
その他の機種は、ホップ窓が丸いので、ヤスリ等で四角く成型する必要があります。
KJチャンバーには、KJ製パッキンと、
ホップを押す「HOPマン」と呼ばれる小さな樹脂部品がついてきます。

KJパッキンは基本マルイのコピーなのですが、
パッキンの横幅が広く、バレル窓内に真っ直ぐ一直線にパッキンが降りてきます。
HOPマンは、パッキンのRにピッタリフィットする形で乗っかり、
パッキンを真っ直ぐ押し下げる役割を果たしています。
次に、チャンバーをハウジングに組み込みます。

今回組み込むハウジングはBEST GUN製のアルミハウジングです。
純正ハウジングに組み込む場合、出っ張ったパッキンが邪魔をして
最後まで押し込めないので、出っ張ったパッキンを切って
気密処理を施すか、パッキン分、ハウジング内部を掘り下げる必要があります。

今回使用したBEST GUNハウジングには、そのまま組み込めました。
このように、奥まで差し込んでから、下のロックスクリューを締めます。

KJチャンバーとハウジングの寸法はピッタリで、左右のガタツキはありませんでした。
本当はハウジング、バレル間にはめるバレルスペーサーもついてきたのですが、
使用したバレルには入らなかったので、使用しませんでした。

その代わり、アウターバレル内径がバレル外径にピッタリで、
ガタが全く無かったので、バレルのガタは心配ないようです。
これはエアボーン様で加工した部分なのですが、
バレルナットとハウジングに段差加工を施して、
ピッタリはめ込むようになっています。

これは、G&G製 ワンタッチサイレンサー用アウターバレルと
それに対応するバレルナットを組み込む為で、
純正バレル、ハウジングを使用している場合は必要ない加工です。
このように、ピッタリはまる構造になっています。
上がBEST GUN用ノズル、下がKJチャンバー対応ノズルです。

KJチャンバーノズルは、片方がポンチでφ6.5mmまで膨らませてあり、
ボルトに圧入後、瞬間接着剤等で固定するようになっています。

まずKJノズルをボルトに差込み、ボルトを閉鎖してセンターを出します。
その後、隙間に流動性のいい瞬間接着剤を流し込みます。
また、固まるまで時間のかかる高粘度瞬間接着剤や、エポキシ接着剤を
あらかじめノズルに塗って、ボルトに差込み、センター出しする方法もあります。

ノズル長はピッタリ出ており、調整する必要はありません。

ノズル外径は実測6.307mmで、KJパッキン、マルイ純正パッキンと組み合わせると
ノズルの外径が足りずブカブカで、初速がかなり落ちます。
気密部分が肉厚で、しっかり気密の取れるダイハード スーパーホップパッキンと比較すると、
10m/sほど初速が低くなる傾向にあります。

それでも必要な初速は十分出る為、これと言って使用に差し支えありません。
HOPマンの分だけプランジャー長を短くする必要があるので、
純正ホップクッションをカットして短くします。

プランジャーは純正クッション等のゴム棒、金属棒、スプリング等、
色々応用が効きます。
バレルの位置決め溝が無いので、気をつけないと
写真の様にホップパッキンが傾いて出てきてしまいます。
今回テストに使用したのは、左からKJパッキン、マルイ純正VSR用パッキン、
ダイハードスーパーホップソフト、ハードの4種類です。

使用銃のレシピは下記の通りです。

ベースガン:タナカ AICS
バレル:AICS用加工品
ハウジング:BEST GUNアルミハウジング加工品
アウターバレル:G&G ワンタッチサイレンサーバレルショート
チャンバー:KJチャンバー
プランジャー:純正ホップクッションカット品とスプリングの2種類でテスト
パワーソース:エアタンク 3気圧
マガジン:純正ロングマガジン ワッシャーでルート絞り
ボルト:ノズルはKJチャンバー付属ノズル。ストライカースプリングカットにてデチューン
初速:ダイハードスーパーホップ緑時、マルゼンSGM弾で73.64m/s(エアタンク3気圧)
ホップの強さ:30m先で水平到達する強さに調整
使用BB弾:マルゼンSGM0.29g 平成20年7月ロット
KJパッキン使用時のグルーピングです。
KJパッキンはKJノズルとのクリアランスが大きく、初速が13m/s近く下がってしまっています。
それでも弾道の伸びはよく、余裕で30m先まで到達できます。

グルーピングは残念ながら2セット目で2発外しとなり、平均は計測不能でした。
着弾は満遍なく散る感じです。
続いて、マルイ純正 VSR用パッキンでのチャレンジです。
こちらもノズルとのクリアランスが大きく、初速は大きく落ち込みます。
グルーピングは1回目:245mm 2回目:285mm 3回目:245mm 平均258.33mmとなりました。
タナカ純正に近いBEST GUN製のチャンバーと比べると、格段に良くなっています。
次はダイハード スーパーホップ ソフト 緑でのチャレンジです。
こちらは気密部分が肉厚で、KJノズルでもしっかり気密が取れます。

グルーピングは210mm 235mm 155mm 平均200mmとなりました。
KJ、純正パッキンと比べると、かなりグルーピングが良くなっています。

KJチャンバーはプランジャをゴム棒にすると、弾の伸びは良いのですが、逃げがなくなり、散る傾向にあります。
スーパーホップパッキンはパッキンの突起がH型で、うまく左右に逃げて、グルーピングが良くなっていると推測されます。
続いて、スーパーホップハード赤でのチャレンジです。
こちらは残念ながら3セット目に1発外しが出て、平均は測定不能でした。
パッキンが非常に硬く、ピーキーになる傾向にあります。
最後に、一番成績の良かったスーパーホップソフト緑で、プランジャをスプリングに変えて撃ってみました。
スプリングに変えると、ホップのかかりが弱くなり、水平に飛ばすにはかなり強くホップをかけなければなりません。
結果は221mm 270mm 230mm 平均240.33mmと、ゴム棒に比べて悪化しました。

総評
KJチャンバーは確かに、純正(に近い状態)に比べ、性能は格段に向上します。
ポンつけ状態では、現行のボルトアクションと比べると、まだグルーピングが悪い傾向にありますが、
純正と違い、様々に応用の効くチャンバー、パッキンなので、まだまだグルーピングを詰めることは可能でしょう。
タナカ ガスボルトの性能を向上させたいと言う場合、お勧めの一品だと思います。