命中精度とは、発射されたBB弾をどれだけ同じ場所にまとめられるかという性能指標ですが 様々な要素が絡み合い、同じ場所に確実に当てるというのは実銃でも不可能です。 そこで、どれだけ弾を小さな範囲にまとめられるかと言う"グルーピング"と言う概念が一般的となっています。 このシリーズでは、エアソフトガンにおいて命中精度(グルーピング)を向上させられるのか、 銃本体、射手、弾、外的要因など様々な視点から探っていきます。 |
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命中精度を考える その1 エアソフトガンにおける命中精度の概念と現状 エアソフトガンも実銃と同じく弾丸を発射する射撃道具です。 よって命中精度の指標となるのは、弾をどれだけ小さい範囲にまとめられるかを 数値で示した"グルーピング"となります。 グルーピングの規定、採取方法は様々ですが エアソフトガンにおいては弾数は3〜10発、距離は5m〜30m程度が一般的です。 |
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測定距離 日本において、エアソフトガンは改正銃刀法により 銃口から1m離れた位置での運動エネルギーが0.989Jと 上限が定められています。 また、広く一般に普及している銃口初速のレギュレーションとしては 銃口初速で0.9〜1J以下と、法規制値に少し余裕をもたせた物が多いです。 この状況下において、日本のエアソフトガンの最大到達距離は ホップ、仰角射撃、初速の減衰が小さい重量弾を用いてもせいぜい70mが限界です。 こう言った中、果たしてグルーピングはどの距離まで有効なのか、、、 と言う疑問が浮かんできます。 これは、人それぞれ考え方があり、正解という物は存在しませんが 私自身、グルーピングとして有効なのは30mまでと考えています。 その根拠として、弾丸の威力減衰が挙げられます。 ご存じの通り、エアソフトガンの弾丸は重くても0.4g程度で 日本の法規制下での運用を考えると、せいぜい0.3gが限度です。 BB弾は非常に軽く、空気抵抗の影響を受けやすい球状なので 発射後、一気に初速が落ちていきます。 例として、K.T.W.のM70でマルゼンSGM弾(0.29g)を軽いホップで撃ち出した場合 銃口初速で80m/sあった物が、30m先ではたったの27.2m/sになっています。 J値で計算すると0.928Jが0.107J となり、なんと10歳以上用の銃口エネルギーを下回っています。 K.T.W.の和智社長によりますと、このエネルギー減衰比率は .308WIN(150gr 旧NATO弾)で約1000ヤード先を撃った物に相当するそうです。 これより先は、BB弾にほとんどエネルギーが残っておらず 僅かな外的要因でも影響を受けてしまい、正式なデータの取得が困難な事から 私自身、30mが限界だろうという判断をしています。 屋外50m射撃なんて、実銃で言うところの何km先を撃っているのでしょうか(笑) |
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測定弾数 グルーピングは測定距離において、規定の弾数を撃ち込んで 一番離れた弾痕と弾痕のセンター(CTC Center To Center)で測定するのが一般的です。 そこで疑問に思うのが、一体何発撃ち込めば正確なデータが取れるのだろう?と言う事です。 勿論、何発撃っても小さくまとまることが理想ですが 一定の範囲内に必要以上に撃ち込むことほど無駄な物はありません。 実銃では3〜5発が多く、機種の精度と距離に応じて変えることが多いようです。 しかし、エアソフトガンは実銃とは比較にならないほどグルーピングが悪く 弾の品質(表面仕上げや外径公差、内部の気泡など)によっては 一定範囲でランダムに着弾というケースも少なくありません。 そうなると、必然と散布範囲の傾向を見る為に発射弾数は多くなっていきます。 個人的な経験から来る物ですが、エアソフトガンの場合は 30発も撃てば、大体の散布範囲は検討がつきます。 そこで、同弾判別が困難な場合は1回当たりの発射弾数を減らして その分セット数を多くし、距離が離れるにつれて発射弾数を増やす方法がベストだと感じています。 例としては、10〜20mでは5発1セット×6回、30mでは10発1セット×3回と言う感じです。 しかし、30発というのはかなりの弾数です。 問題となってくるのが射手の集中力で、油断するとヒューマンエラーが必ず発生します。 そう言った場合は、発射弾数、セット数を減らして人間への負荷を軽減し 長期にわたって散布傾向を観察すると良いでしょう。 |
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数値として出せないエアソフトガンにおける命中精度の現状 実銃において、命中精度を語る際には必ずグルーピングが出てきます。 製品の性能を表す指標として、MOA(MOA USA)がよく使われます。 これは弾丸の散布範囲を意味し、1MOA(MOA USA)は100ヤードで1インチとなります。 製品グルーピング0.5MOA(MOA USA)保証!と言う場合は、100ヤードにおいて0.5インチ内に 命中を保証すると言う意味合いになります。 ところが、エアソフトガンの場合、具体的な命中精度を示す値がほとんど出てきません。 昔から〇〇mで空き缶に命中(全弾入るとは書いていない)や 〇〇mでヘッドショットを狙える(狙うのと当てるのは別物)と言う 曖昧かつ抽象的な表現ばかりです。 と言うのも、エアソフトガンで命中精度を追い求めてみると そのとてつもない難しさに直面します。 精度の出ない滑空銃身、不安定要素だらけの樹脂射出成型弾、確保しにくい測定環境など 問題が山積みとなってしまい、数値化するには多くの壁が存在します。 それ故、どうしてもビシッとした数値化までたどり着けず、 曖昧な表現にとどめているのが現状だと感じています。 こればかりは、ひたすらデータを蓄積し、少しずつクリアしていくしかありません。 ここから先は、ちょっと辛辣な書き方となってしまいますが こう言った曖昧な表現が昔から横行していたせいもあり、 エアソフトガンの命中精度界は嘘、妄想、デタラメが多分に含まれています。 10年近く30mチャレンジを続けていて、その過程でトンデモグルーピングを出したという 人は沢山いましたが、実際みんなの目の前で繰り返し実現できた人は誰一人としていません。 様々な妄想を語るのは結構ですが、果たしてそれで結果はどうだったのか? 具体的な数値としてどう変化があったのか?胸を張って言える人は非常に少ないと思います。 当たる原理が100%解明されておらず、未だ公式で示すことのできない分野なので 言ってしまえば「結果を出せた人が絶対であり真理」、「それを解明して再現できた人が神」です。 白日の下で結果も示さず、ご高説を垂れているだけでは入り口にすら立っていません。 あなたは第三者の前で、その銃を堂々と撃てますか? 結果を示せますか? チャレンジのハードルは非常に低いのですが、 現実を受け入れてステップアップし、次に生かせるか、、、 妄想で塗り固められたプライドを捨て去れるか、、、 それは自分自身にかかっています。 その苦行に快感を感じたとき 飛ばした弾痕を隠さず、笑い飛ばせたとき 競技会や射撃会で仲間と楽しく語り合えたとき スコープ越しに的の向こうの世界が見えてしまったとき ようこそ、変態の世界へ(笑) |