流速チューンの原理と製作例、注意点

改正銃刀法が施行され、エアソフトガンの初速上限が決まって以来
サバイバルゲーマーを中心として、「如何に規制値内で飛距離を伸ばすか」と言う
議論、研究が盛んになり、再び「流速チューン」が注目を集めることとなりました。

流速チューンは私が知る限りでは20年近く前からあったチューンでした。
当時から

「同じ初速なのに妙に飛ぶ、やかましい銃がいる」
「同じ初速なのに当たると痛い気がする」
「ガスガンって同じ初速の電動より飛ぶ」
「電磁って妙に飛距離が出る」

など、都市伝説っぽい噂がささやかれていました(後者2つは後ほど記述します)

当時はパワーで飛ばす時代だったので気にとなることは少なかったのですが
一部チューナーの間で研究が行われ、今日に伝わる情報の基礎が出来たと記憶しています。

まずはそのプロセスを追っていきます。
画像は使いまわし(笑)ですが、まずはノーマルでホップを強くしていった時の加速プロセスです。

ホップを強くすると抜弾抵抗(弾がパッキンを抜ける為に必要な力)が増大し、弾が栓の役割を果たしシリンダー内の圧力が上昇していきます。
すると、前進するピストンに内圧と言う強力なブレーキがかかり、突入で稼いだ圧力の上昇は終焉を迎えます。
(圧力の上死点。弾がパッキンを超える時と推測されます)

弾がパッキンを通過する時にかなりのエネルギーが消費され、一般的なノーマル電動ガンでは
ホップをかけるほど初速が落ちていくか、良くても変化無し程度です。

妙に良く飛ぶ機種(G36C、P90、次世代)はこの初速ロスによる変動が少なく、効率の良いセッティングになっているからです。
設計の古い機種などは気密もしっかり取れていないこともあり、急激に初速が落ちる物もあります(M16A2等)
対して流速チューンのプロセスです。

ホップをかけて、抜弾抵抗によってシリンダー内圧が向上するまではノーマルと一緒です。
しかし、流速は本来ブレーキがかかるはずのピストンをそのまま強引に押し切り、猛烈な圧力を稼いでいます。

具体的にはノーマルよりもテンションの強いスプリング&大質量のピストンで大きな運動エネルギーを稼ぎ、
抜弾抵抗を物ともしない圧力を生み出し加速させます。
わざとノズル内径を絞って擬似的に抜弾抵抗を増加したのと同じ現象を生み出し、さらに圧力を稼いだり
フルサイズシリンダーを使って圧縮するエアの総量を増やしたりします。

もちろんそんなことをノーマルのバレル長で行えば初速は規制値を遥かに超えてしまうため、
バレルを短く切る(セッティングによっては100mm以下)のが一般的です。

短いバレルから圧縮された有り余る容量のエアが放出される為、BB弾を装填して加圧状態で撃ってみると
「バチンッ!!」と言う物凄い銃口破裂音がします。これが「やかましい」現象の正体です。

これらを施した流速チューンの銃は「ホップをかければかけるほど初速が上がっていく」仕様となり、
弾を動かすのに大きな力が要る重量弾ほど効果を発揮していきます。
ホップ解除状態で同じ初速でも、適正ホップで初速が変わらないか落ちる銃に対し、
流速チューンは適正ホップで初速が上がり、さらに強加速による高回転も得られるので飛距離で圧倒します。
これが「同じ初速なのに痛い気がする」現象の正体です。実際、高いパワーで撃っていることになります。

しかし、銃の出しうる最大パワーで計測する改正銃刀法下では非常にセッティングの難しいチューンでもあり、
強力なスプリングを使い、バレルの交換やホップ状態で簡単にオーバーパワーになるこのチューンは
むしろリスクが高すぎると言っても過言ではありません。

間違ってもホップ解除状態でギリギリに設定してはいけません。
上げ幅を考慮し、ホップ解除状態でかなり低い初速に設定します。
そしてなにより「チューン途中や調整中で一瞬でも規制値を超えた場合、即法律違反」であると言うことを
肝に銘じてください。

*ちなみに*
ガスガン、電磁が妙に飛ぶと言うのは、この強加速プロセスがデフォルトで起こっている為です。
エアを圧縮する電動ガンと違い、既に圧縮された気体を瞬間的に開放するガスガンは
デフォルトで「流速チューン」なのです。
逆を言えば、電動やエアコキでガスガンと同じ現象を再現するのが「流速チューン」なのです。

以前は作例をご紹介いたしましたが、現在は公開を停止しています。
↑が上記のプチ流速チューンの初速変動幅を調べた動画です。
マルイ生分解0.2gを使用し、ホップ解除と最大ホップで、約10m/sほど差が出ています。
適正ホップ(大体真っ直ぐ遠くまで飛ぶところ)にマーキングして調べると約91m/sだったので、
適正ホップ状態でも8m/sほど向上していることになります。

このように、初速:ホップを高次元で両立できるのが流速チューンです。
ロスを最小限に抑えるのが目的のG-HOPとは違い、上限を「上げる」事が出来るので
最終的な飛距離はこちらが上となります。
(この意味を理解できない方は流速チューンに手を出さないでください)

しかし、初速変動幅が非常に大きく、ギリギリのセッティングはリスクが非常に大きい物となります。
また、むやみやたらと圧力を稼ぐと変動幅がさらに大きくなり、
改正銃刀法に抵触しかねないレベルにまで達してしまう可能性が高いです。
また、ホップ状態で初速が大きく変化すると言う事を逆手に取り
「レギュレーションチェック時はノンホップでクリアし、後に適正ホップでオーバーパワー」と言う
流速チューンの闇の部分を巧みに利用したルール違反も散見され、各地で悩みの種となっています。

しかし、一番危惧しなくてはならないのがこういった危険と隣り合わせのチューンに
興味本位で手を出し、オーバーパワーになっていることを平然と公表している方々がいること、
そして一歩間違うと改正銃刀法にすら抵触してしまうような状態の物やそれに使うパーツを売る業者がいると言う
モラルが著しく低下した状態にある事です。
これは、パワーカスタムが行き着いた果て、、、改正銃刀法が施行された〜2006年のエアガン業界の雰囲気に似ている気がします。

構造や特徴、そして危険性をしっかり把握した上でチューンしている方々とは別に
興味本位、流行だから、よく飛ぶと聞いて、、、と言う理由で手を出したがる方は多数いると思います
そういった方々は、これから手を出そうとしている物がどういうものかよく把握した上で行動してください。

行き過ぎた金属外装同様、このままの状態だと再び「規制」をかけられる可能性があります。
この趣味の分野をこれ以上規制されない為にも、新しく流速に手を出す方々は十分な勉強を
流速に携わる方々は「危険性を持ち合わせる」と言う喚起、そしてマナー向上の為の啓蒙をお願いいたします。