スナイパーの使用する銃 ボルトアクションとセミオート

前回の更新から随分時間が経ってしまいましたが、今回はスナイパーが使用する銃について書いてみようと思います。
中でも、「ボルトアクション」と「セミオート」の比較について、それぞれのメリットデメリットも絡めて触れてみようと思います。
ボルトアクション

スナイパーの代名詞とも言える存在で、
実銃は手動にて単発ずつチャンバー内に弾を装填し発射する方式です。
ボルトと呼ばれるファイアリングピンを内蔵した円筒形のパーツを
ハンドルにて回転させ、ロッキングの動作をさせます。

様々な弾種に容易に対応でき、パーツ点数も少なく精度が出しやすく
弾道に影響する外部からの振動も少ないので
今日でも精密射撃の主力方式です。

エアソフトガンとしては、ボルト内にあるピストンをコッキングさせる
エアコッキング方式を採用することが多いです(一部ガスもあり)
今回は、エアコッキングボルトアクション方式について見ていきます。
メリット

・パワーソースが人力で、弾さえあれば撃てる
・初速が気温に左右されにくい
・パーツ点数が少なく、チューニングしやすく精度が出しやすい
・トリガーメカがしっかりしており、レットオフ(シアが落ちる瞬間)を把握しやすい
・ロックタイムが短い
・消音化しやすい
デメリット

・単発ずつ手動装填なので、連射がしにくい
・装弾数が少なめ
・機種が少なめ
セミオート

ボルトアクションと比べると構造が複雑で可動部分が多いことから
精度が出しにくいと言われてきましたが、
近年は改良が進んでおり、ボルトアクションと遜色ないレベルにまで
グルーピングは向上してきました。
(ベンチレストレベルはまだまだ無理な様ですが)

ボルトアクションとの最大の違いは「連射」ができることです。

エアソフトガンでは電動ガンが用いられることが多いのですが
消音性に特化させたガスガンを用いる方もいらっしゃいます。
今回は電動ガン方式について見てきます。
メリット

・連射ができる
・初速が気温によって左右されにくい
・様々な機種、パーツが市場に出回っている
・装弾数が多く、マガジンチェンジしやすい
デメリット

・作動音が発生する
・バッテリーが必要
・トリガーフィーリングが最悪(レットオフの瞬間が分かりづらい)
・ロックタイムが長い(発射までのタイムラグがある)
・命中精度を向上させるのが一苦労
・レギュレーションによっては、重量弾の優遇措置が受けられない
こうして比較してみると、両者一長一短であることが分かります。

ボルトアクション方式で、私が感じる最大の利点は「トリガーフィーリング」です。
シアが落ちる感触が分かりやすく、発射の瞬間を射手がコントロールしやすいのが特徴です。
特にAPSで採用されている「前倒れ式シア」は構造が単純かつトリガーを1ステージ、2ステージにも設定できるので
今でも多くの銃が採用しており、愛用している方も大勢いらっしゃいます。

スナイパーはターゲットの周りの環境やタイミングから、撃つかどうかを決めなければなりません。
時にそれは一瞬の出来事だったりします。
そんなとき、シアが落ちる感触が分かると言う事は、発射のタイミングをコントロールしやすいと言う事になります。

これが電動ガンならば、トリガーが電気スイッチなのでモーターが動き出す瞬間が分かりづらく
ゆっくり引き絞るとスイッチが放電する「ジリジリ」と言う嫌な感触があったりします。
また、ボルトアクションに比べてロックタイム(トリガーを引いてから発射までのタイムラグ)が非常に長く、物によっては0.1秒近くになったりします。
横移動しているターゲットならば、リードを考えなくてはならないレベルです。

次に作動音です。
これはボルトアクションが有利で、発射の際に動くのがピストンのみなので、打撃音と発射音の抑制のみで
ほぼ音を消すことができます。
電動ガンの場合、ギアノイズと言う大きな音源が追加されるので、ボルトアクションレベルに到達するのは至難の業です。
機種によっては抑制しやすい物もあり(P90やAUG、F2000等のブルパップ式)、狙撃銃っぽくない外観ですが、スナイパーには人気があります。

続いて肝心要の命中精度です。
両方とも、突き詰めればほぼ同レベルなのですが、その道のりに大きな差があります。
ボルトアクションはチャンバー部分がチューニングしやすく、インナーバレルの固定もしっかりしています。
また、ノズル長も変更しやすく、弾の保持位置を調整するのも比較的簡単です。

対して電動ガンは分解性を重視した構造から、チャンバー周りの固定が甘くガタが出やすいのとノズル長の調整に多大な苦労を強いられます。
また、ノズルによる強制叩き込み給弾なので、弾とホップ方式によっては保持位置が前後してしまう事があります。
何より、箱出しでシビアな狙撃に使えるレベルの製品が少ないことが、ハードルを上げる要因となっています。
命中精度が非常に高いと言われる次世代電動ガンでさえ、良い弾を使っても30mで10発×3セットをA4サイズに納めることは難しいのです。
なので、狙撃レベルに持っていく為には、それなりのチューニングスキルが必要となります。

そして最後に、火力です。
これは電動ガンが圧倒的で、ボルトアクションは逆立ちしても敵いません。
スコープを覗き、射撃体勢を保ったままトリガーを引くだけで弾が出るので
複数のターゲットに撃ち込む場合、大きな差が出ます。

このように向き不向きがありますが、どちらが良い!と言うはっきりした答えは無く
その人のスタイル、スキル、周りの状況に応じて好きな方を選べば良い、と言う事になります。

私は現在、M4をベースとしたセミオートライフルを主に用いています。
消音性を多少犠牲にしても、対複数時の火力確保と二の矢を素早く放てることに重点を置いています。

二の矢とは、一撃で仕留められなかったターゲットに対し、二発目に撃った弾のことです。
と言うのも消音化して単発、かつ遠距離からの力ない弾だと、相手が気づいてくれないことがあるからです。
昨今、アーマーを着ている方が増えてきたので、それが顕著になっている感じがします。

弾が当たったのか、枝や草に弾かれたのか判別がつきにくいことも多々ありますし
そんな事で一々「今の当たっただろ」的な感情を抱いていては、スナイパーなんて勤まりませんし
ゲーム自体も面白くも何ともなくなってしまいます。最悪、雰囲気事態悪くしてしまいます。

なので、レティクルの向こうで首を傾げている相手を見ても
「あ、今の気づいてもらえなかったかな?」
位な気持ちで受け止め、優しく紳士的に二発目をお見舞いしてあげましょう。

こう言った感じで、考え方と求める物で使うエアソフトガンのジャンルは変わってきます。
一つだけ言える事は「スナイパーはエアソフトガンの性能だけで仕事はできない」と言う事です。
銃の特性を熟知把握した上で、それをどう運用するかは「人間」の性能で決まります。